山本の著作物
寺尾塾 講義資料集 2010年版
寺尾塾で講義した資料をまとめました。
1.工場評価(2009年7月2日) ・・・・・・・・・・・・・1
2.値引きはどこまで可能なの(2009年7月16日) ・・・・・・・15
3.学歴の経済学入門(2009年9月) ・・・・・・・・ 25
4.政治と官僚(2009年10月) ・・・・・・・・ 41
5.政治と官僚・要約(2009年11月19日)
・・・・・・・・ 64
6.鳩山首相の所信表明演説を読む(2009年12月) ・・・・・・・・
72
7.少子化問題(2010年1月) ・・・・・・・・・・・・・83
8.商店街の衰退について2010年2月5日) ・・・・・・・104
9.日本経済構造の特徴、政府と企業および企業間競争
2010年3月) ・・・・・・・・114
10.中国経済入門T(2010年4月22日) ・・・・・・・・124
11.中国経済入門U(2010年5月13日) ・・・・・・・・137
12.中国経済入門V(2010年6月3日) ・・・・・・・・145
13.中国経済入門W(2010年6月14日) ・・・・・・・・156
14.中国経済入門X(2010年7月8日) ・・・・・・・・167
カッコ内は講義開催日と異なります。
マーケットを読む/情報編 2009年7〜2010年6月 ・・・・・・179
マーケットを読む/コメント編 2009年7〜2010年6月 ・・・・・・245
マーケットを読む/データ編 2009年7〜2010年6月 ・・・・・・279
GOLDの変化をみましょう009年7〜2010年6月 ・・・・・・・283
日本企業の国際化(文眞堂)
以前執筆した論文が本になって出版されました。
本日見本が2冊送られてきました。その間約2年が経過しました。
複数の論者が恩師の提示したテーマに沿って、企業調査を行い
論じています。経営学系の学部生の教科書として使用される計画
です。2700円もします。高いけどあまり売れる代物ではないので
致し方ないかな。学生さんには悪いけど。原稿代は今回の2冊で終
わりでしょう。出版社である文眞堂のHPでもまだ紹介されていま
せんが、近々発売されるでしょう。
日本企業の国際
寺尾塾 講義資料集 2009年版
寺尾塾で講義した資料をまとめました。
1.商店街の衰退について2008年7月24日) ・・・・・・・1
2.エニアグラム 性格分析(2008年8月21日) ・・・・・・・4
3.経済学入門(2008年9月25日)
・・・・・・・・ 37
4.経済学入門(2008年10月9日)(資料同上)
5.バブル景気とは T(2008年10月23日 ・・・・・・・・ 45
6.バブル景気とは T(2008年11月6日)(資料同上)
7.バブル景気とは U(2009年1月30日) ・・・・・・・52
8.バブル景気とは U(2009年3月11日) ・・・・・・・60
9.人生に目的はあるか(2008年11月20日)
・・・・・・・・66
10.経営危機に経営学は役立つか(2008年12月8日) ・・・・・・・・71
11.ゼロ金利政策(2008年12月18日) ・・・・・・・・76
12.派遣切りと日本的経営の特徴(2009年2月13日) ・・・・・・・・79
13.景気循環メカニズム T(2009年3月26日) ・・・・・・・・95
14.景気循環メカニズム U(2009年4月9日) ・・・・・・・・102
15.景気循環メカニズム U(2009年4月23日)(資料同上)
16.景気循環メカニズム U(2009年5月7日)(資料同上)
17.アメリカン・バブル発生の一要因(2009年5月21日)・・・・・・108
18.アメリカン・バブル発生の一要因(2009年6月4日)(資料同上)
19.アメリカン・バブル発生の一要因(2009年6月18日)(資料同上)
マーケットを読む/情報編 2008年3〜12月 ・・・・・・133
マーケットを読む/情報編 2009年1〜6月 ・・・・・・149
マーケットを読む/コメント編 2008年3〜12月 ・・・・・・167
マーケットを読む/コメント編 2009年1〜6月 ・・・・・・188
マーケットを読む/データ編 2008年3〜12月 ・・・・・・210
マーケットを読む/データ編 2009年1〜6月 ・・・・・・212
GOLDの変化をみましょう ・・・・・・215
寺尾塾 講義資料集 2008年版
寺尾塾で講義した資料をまとめました。
1.経営学と経済学(2007年6月28日) ・・・1
2.品質管理体制と金銭的評価方法(2007年7月12日)(資料掲載なし)
3.基礎経済学(2007年7月26日)(資料掲載なし)
4.財政政策と金融政策、日本銀行の役割(2006年8月9日)(資料掲載なし)
5.為替の話T(2007年8月23日)
・・・・・・・・ 11
6.為替の話U(2007年9月13日)(資料同上)
7.決算書の読み方(2007年9月27日)(資料掲載なし)
8.値引きは何処まで可能なの?(2007年年10月12日)・・・・・・・23
9.原価計算・管理会計(2007年10月25日(資料同上)
10.企業の崩壊と再建(2007年11月8日) ・・・・・・32
11.パレート分析(2007年11月22日) ・・・・・・・・40
12.ISO9001 @(2007年12月13日) ・・・・・・・・・44
13.ISO9001 A(2008年4月10日)
・・・・・・・・・49
14.ISO9001 B(2008年4月24日)
・・・・・・・・・58
ISO9001 C ・・・・・・・・・65
ISO9001 D ・・・・・・・・・72
15.日本政府は破綻するのか ・・・・・77
16.日本の財政T(2008年2月28日)
・・・・・86
日本の財政 ・・・・・97
17.日本の財政U(2008年3月13日)
・・・・・・・109
18. マーケットを読む(2008年3月27日)(資料掲載なし)
19. マネーと通貨の話 @(2008年5月8日)
・・・・・・120
20.マネーと通貨の話 @(2008年5月8日)
・・・・・・133
21.マネーと通貨の話 B(2008年6月19日)(資料同上)
寺尾塾 講義資料集 2007年版
寺尾塾で講義した資料をまとめました。
はしがき
2006年6月より1年にわたって社会人を対象に、「寺尾塾」と銘打って経営経済学の勉強会を主催
してきました。参加者に経営学、経済学を知ってもらうことを目的としたことにもまして、自分が
経営学とは何かを掴みたいことが重要でした。その点では受講していただいた方々には恐縮してい
ます。
それにしてもよくも1年間継続できたと我ながら感心しています。参加いただいた方の絶大なるご
理解があればこそ、頑張ることができたと感謝しております。講義の内容としては、専門性より社会
問題を理解することに焦点をあててきました。
会社勤めをしているとなかなか勉強する時間が取れません。寺尾塾は忙しい社会人を対象としてい
るため、「予習不要」をモットーにしました。そのため講義はで目標のすべてを語りつくせない場合
が多く、私の脱線癖もあり消化不良となることを想定しました。そのため、講義に関しては必ず資料
を配布することにしました。受講者が復習する一助になればと思い、すべて自筆で資料を作成した。
はじめはメモ程度の資料でした。各講座A4用紙で5ページ程度ですが、字数には相当のバラツキがあり
ます。本格的に取り上げたテーマは、論文そのものを配布したこともありました。経営学に対して実
務家の中には、学問としての効用に疑問を抱く方がおられます。かくいう私も「経営学は何をするの
?」との疑問を持っていました。実務を経験していない学者に何がわかるかと疑ったこともありました。
現実に大学の教師の中には、社会人を相手に講義をすることを嫌がる方もおられると聞きます。何も知
らない大学生なら何も疑われずに講義ができるところを、社会人は実務に照らして質問してくるのを嫌
うようです。しかし、実務家の承知している範囲は、当事者の周辺に起こっている現実ですあり、固有
の事象なことが多いのです。学問はそのような固有な現象を捨象して、一般化して多くの方が理解しや
すくしているのです。ただし、その通りすべてが起きることではなく、「ある前提の下」の制約がつく
のですが、一般論として承知しておくことは実務に非常に大切なことです。
職場では色々な問題が発生して対策に悩まされています。企業研修では、経営管理の教育を受けても
その場だけで、実務に役立つことが少ないようです。それは上辺だけの教育しか行わない側に問題があ
る場合もありますが、事例研究から抽出されたコンセプトは、自分の悩みに直接回答してくれないこと
も原因になっています。ではどうすればよいでしょうか。簡単な解決策はありません。知識を広げて事
象を見つめる視野を広げるのが結局は近道です。問題の本質を見るには、多面的な観察力が必要です。
しかし、知識だけでは問題解決はできません。知識を使って知恵を出す・創造することが必要ですが、
それは教育では得られません。各自の努力が必要となります。寺尾塾が、その一助となれば幸いです。
経営者は市場が変化していることを読み取り、企業の進路を見直し、必要に応じて舵をきることが大
事です。ダーウィンの進化論では、気候の変化に適応して生き残れた生物は、生存競争に強い獰猛な生
物ではありません。環境の変化に適応して自分を変化させることができた生物だったのです。しかし、
多くの経営者は、自分が築いてきた知識や経験に頼りすぎ、経営判断を誤ることがあります。「愚者は
経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。成功体験は市場が変化する時には有効性が低いといわれ
ます。残念なことにそのような経営者に経営学を軽視する傾向があります。カリスマ、ワンマン経営者
に多い傾向です(企業経営は天性の素養が重要なことは事実ですが)。経営学を難しい学問ととらえるこ
とは正しくありません。「家計を預かる主婦は優秀な経営者」「予算管理は家計簿と同じ」「コスト管
理は、生活費の節約と同じ」です。対象とする規模が大きく、組織が複雑だから面倒なだけで、考え方
は人の生活と同じと考えれば理解しやすくなります。確かに大学で学ぶ経営学は、体系化した学問から
全体を小分けにして、講座が設定されているので取っ付き難いところがります。寺尾塾では、経営学を
全体像から見つめるようにしたいと考えました。そして少しずつ専門性を高めていこうと考えていまし
たが、1年ではそこまでいきませんでした。
経営学を学んだからといって、企業経営に成功する保証はまったくありません。ましてや株で一儲け
なんてできません。しかし、先人達が経営に関して研究した成果は、殆どの方は経験することが出来な
いことを、我々に教えてくれます。また企業経営に共通する事項を一般化して提示しています。経験だ
けで企業を経営することと、これらの研究を学んで経営するのでは成果に違いが生まれます(成功するか
はわかりませんが)。企業で働く方も、部門方針、業務への取り組みが変化します。
本書に掲載した資料は、執筆時のものを誤植を訂正して、ほとんどそのまま使用しています。加筆、修正
を行って完成度を高めることも考えましたが、執筆時の筆者の知的レベルをはかることができるので、正
直に掲載しました。なお、文章は「ですます」調と「である」調が混在していますが、ご容赦ください。
本書に掲載した資料は、私のホームページ「寺尾塾」からダウンロードできます。
2007年6月
原価管理の視点から 製品開発と生産システム
第二作を執筆しました。といっても今まで書いた論文をまとめただけですので、新規性はありません。
はしがき
本書は、筆者が明治大学大学院経営学研究科に在学中に執筆した論文に一部修正・加筆したもので
ある。書籍としての価値は低いと思うが、これまで自分が努力してきた証として残すことにした。
同じような研究をされているかたの一助になれば幸いである。
第一部「新製品企画時における最低販売数量の設定」1〜46ページ
開発や研究に従事する技術者のなかには、自分たちの活動費用をどのように製品販売から回収する
かを知らないことが多い。また、回収方法も明確にしていない企業も多い。そのため製品開発にかけ
た費用とその効果を確認することがむずかしい。製品開発の費用および生産初期に発生するトラブル
対策費用は、すべて当該製品の売上から回収することが重要と考える。そのための最低販売数量の求
め方を提示した。初めて書いた論文である。今読み返すとひどい文章ばかりである。論文指導で○○
先生の最初の指摘は「日本語が出来ていない」だった。だいぶ直して論文審査に提出したが、それで
も情けない表現力である。よく審査をパスしたものだ。査読の先生から論点がおもしろいと助け舟を
出してくれたお陰だろうか。その先生も全体の1/3を書き直すことを前提条件にされたが。
第二部「SCMにおける在庫最小化のための生産管理手法」49〜76ページ
三部の修士論文のエキスを抽出した論文である。
第三部「BTO生産システムにおける中間在庫の意義」79〜191ページ
SCMがクローズアップされた以降「在庫は悪だ」とのイメージが強くなった。しかし、生産システムを
円滑に運営するためには、生産に必要な部品や仕掛品、モジュール、半製品などは不可欠な在庫品で
ある。完成品の在庫量は需要に連動した必要最低量にとどめることは十分理解でき、需要に連動した
製品の供給体制を構築しなければならない。そのためには生産のリードタイムは、要求に対応できる
時間でなければならない。リードタイムを要求に対応させるためには、部品や仕掛品を含めたモジュー
ル、半製品をあらかじめ在庫しておくことが求められる。このような生産における中間的な在庫の存在
意義を再確認し、かつ生産システム全体として在庫の金額を小さくする方法を提示した。
3論文とも原価管理の立場から執筆した。なぜなら企業の経理システムと生産システムは密接な関係
にあるからである。生産システムで消費された経費は経理システムで集計され決算数値に反映さる。
その関係が正しくなければ決算数値の信憑性が損なわれる。そのため効率的な生産システムが開発さ
れても、生産部門で簡単には導入することはできない。生産システムを変更するなら経理システムも
修正しなければならない。よって生産システムを論ずる場合は、経費集計すなわち原価管理の視点を
はずすことは出来ない。
在学中は、論文指導を頂いた恩師の明治大学○○教授をはじめ論文を査読いただいた先生、学友、
友人に大変お世話になりました。論文の書き方、資料の集め方、研究の視点、ものの考え方等々多くの
方から色々ご教授を頂きました。この書で謝意を表したく思います。そして何より私にこのような時間
を持つことを許してくれた妻に感謝する。
2005年11月
技術者のための経済学・経営学知識
初めて本を書いてみました。出版する予定はありません。自費で出版するほど図々しくないので。
人生のランドマークとして記念に作ってみました。過去の資料を書き直して、新たなテーマを入れて
一冊に仕上げる作業、結構疲れました。はじめたら終わりまで一気に進める性格なので、殆ど没頭し
て約1ヶ月で完成させました。
表紙は種類あります。
はしがき
本書は技術者および理工系の学生を対象とし、経済人として経済、経営学の知識を獲得しても
らうことを目的にしています。経済学、経営学の専門書ではありません。多くの技術者は、管理
職になるまで日本および世界経済のことに目を向けることが少ないように感じています。新聞や
テレビニュースで経済情勢を見聞きすることは多々ありますが、それを発生させるメカニズムま
でを理解している方は少ないと思います。大学の理工学部では、残念ながらカリキュラムに経済
学や経営学はありません。しかし、21世紀はグローバルの時代であり日本の技術者は世界の経済
動向に無頓着ではいられません。マーケティングや為替レートの知識がなければ世界で売れる製
品を作り出すことはできないし、生産管理論や組織論を知らなければ外国の工場で生産すること
や労働者を管理することはできないでしょう。
本書は私が技術者として疑問に感じたテーマを、勉強の都度記述したものを編集しています。
記述した時期により文書体や文調が異なっていますが、ご容赦願いたい。テーマは技術者にとっ
て身近に使える知識にポイントをしぼり、簡単に理解できるよう記述しました。簡単といっても
読み流しできるほどのレベルではありません。大学の学部で教えているレベルは維持しています。
専門書を沢山読むのは時間がない方、本気で知りたいと感じている方を念頭において記述しまし
た。テーマによって重点が異なり各章の文書量が不揃いです。また、章単位で完結するようにし
たため、他の章と重複することがあります。更に理解を深めたい方は、本書を糸口に専門書によ
り勉強を進めてください。
経済学では説明を簡素化するため記号や数式を多数用いていますが、決して難しいものではあり
ません。+−×÷しか使用していませんので、嫌がらず数式の意味するところを理解ください。
ことばでクドクド説明するよりスッキリしています。また関数も多くでてきます。関数とは独立
変数xの値が決まると、従属変数yの値が決まるとき、yはxの関数ということになります。
この関係を概念的にy=f(x)と表現します。f(x)とは、xとyは何らかの関係があるが、その
関係が明確ではないのでfを使って関係があることを表記しているのです。y=axと明確な関係
なら、xが1のときyはaとなります。このような関係を経済学では多く使います。たとえば、
消費:Cは、基本的な支出:cと所得:yの大きさにより発生する消費:Fの和であるとした場
合、C=c+F(y)と表します。一部に微積分を使用していますが、その部分では高校生でもわ
かるように噛み砕いて説明しました。
筆者も長年技術者として従事してまいりました。1985年のプラザ合意以降の円高の直撃を受け
た世代です。当時の社内開発会議において、技術担当役員から「円はいくらか知っているか」と
詰問されたのを今でも鮮明に覚えています。先輩達も何も答えることができませんでした。それ
までの日本製品は1ドル360円で固定していました。日本で作ればそのまま海外で安く売れたので
す。ところが円が急激に高くなって、日本での価格は変化していなくても海外では2倍に値上が
りしてしまったのです。このメカニズムがさっぱり理解できませんでした。プラザ合意以後の円
高は技術者にとって大きなインパクトであり、その後の開発は製品の品質ばかりでなく、ドル表
示でいくらになるか、いかに販売するかに神経を使ったものです。設計段階から海外販売の価格
を念頭においてコスト設計する手法は、現在の原価企画につながっています。
一方、近年の企業経営では、技術者が取締役になっても技術担当で終わることが多くなりまし
た。以前は技術者がTOPである企業が沢山ありました。しかし、最近では経済がわからない、経
営知識が乏しい社長では企業経営はできません。筆者の経験でも「経営なんて、お金の出と入り
がバランスすればいいのだ」と言って支出を抑制された方、「営業が売るといっているからどん
どん作れ」と言って生産を拡大した方など、知識より持論で経営を行う傾向がありました。前者
は、販売計画の見込製品の生産まで抑制したため、確かに出費は低減しましたが、期末には抑制
の反動で生産を増大させることになりました。結局、外注費がかさみ支出はそれほど低減できず、
操業度の乱れが製造原価を上昇させただけでした。後者は、積極的な生産により工場稼働率が上
昇し、製造原価が下がり業績に貢献しました。しかし、計画通りに売れなかったため繰越在庫の
大量発生、そして次年度は新型モデルに追いやられて不良在庫化、数年後には廃棄処理する始末
でした。結局特別損失計上やリストラをしなければならないことになりました。営業側でも「見
込生産指示を抑制しているのだから、工場は在庫が削減できて経営が楽になったでしょう」と言
う方もおられます。これは工場稼働率が製造原価に影響を与えることをまったく理解していない
発言です。
現代の企業経営に上述のようなことは考えられません。技術者といえども世界で通用する製品
開発や工場管理を担当するためには、経済学や経営学の知識は不可欠です。すでにアジア各国の
エリートには、MBA、修士、博士の学位を取得した方々が大変多くなっています。日本でも大学の
学部卒業だけでは、知識の不足を実感し、ビジネススクールで再教育を受ける方が増加していま
す。私の恩師である明治大学の○○教授は、「ビジネスマンに不足しているのは、問題の本
質を探究するテクニックである」と指摘しています。日々忙しく、トラブルを表面的な方法でし
か処理していないことを批判しています。本書が、技術者の日常の業務に役立つことは殆どない
と思いますが、潜在的な知識として体得していれば、諸問題の検討に対する洞察力が深くなりま
す。読者の方々の知識の拡大の一助になれば幸いです。また本書は経済学部、経営学部他、人文
系の学部を卒業した方、卒業が遠い昔の方でも読めるよう配慮しております。
2005年6月
技術者のための経済・経営学知識・目次
経 済 学 の 部 |
ページ |
経 営 学 の 部 |
ページ |
1.需要と供給 |
2 |
21.経営管理 |
87 |
2.国民所得の概念と三面等価の原則 |
4 |
22.組織文化とイノベーション |
95 |
3.貿易黒字を考察 |
5 |
23.マーケティング |
100 |
4.経常収支問題 |
14 |
24.生産システム |
109 |
5.消費の決定 |
20 |
25.サプライチェーン・マネジメント |
121 |
6.限界消費性向 |
23 |
26.生産管理 |
135 |
7.投資の決定 |
24 |
27.リード・タイム |
141 |
8.乗数効果 |
25 |
28.余剰在庫発生メカニズム |
145 |
9.財市場からみた国民所得の決定 |
26 |
29.速度の経済 |
148 |
10.利子率による国民所得の決定 |
27 |
30.製造番号方式の問題点 |
149 |
11.景気変動 |
30 |
31.利潤最大化の生産量 |
151 |
12.財政、金融政策 |
32 |
32.損益分岐点分析 |
159 |
13. ゼロ金利政策、流動性の罠 |
40 |
33.研究開発費の回収 |
164 |
14.為替レート ・ |
42 |
34.製造原価 |
177 |
15.為替レートの決定理論 |
50 |
35.加工賃率(レート) |
180 |
16.比較優位論 |
54 |
36.直間率 |
186 |
17.景気循環 |
63 |
37.ミクロ・マクロ的原価低減 |
191 |
18.景気循環の理論 |
69 |
38.経営数字 |
196 |
19.完全雇用 |
77 |
39.経営戦略 |
207 |
20.自由経済市場の優位性 |
78 |
40.製造業の競争力 |
212 |
経済学参考文献 |
82 |
経営学参考文献 |
218 |
|
|
あとがき |
221 |
おわりに
いつまでも技術者をやっていられないのが現代です。学生時代に習った工学知識はすでに陳腐化
しました。技術は、10年もすれば基礎以外の知識は役に立たないことも多々あります。私が技術者
だった時代はアナログ全盛期でした。トランジスタからICへ移行する時期ですが、まだまだふん
だんにトランジスタを使って回路設計を行いました。しかし1990年代に入るとデジタル技術が大き
な波となって押し寄せてきました。ロジック回路設計などと生易しいものではなく、すべてをデジ
タル化しなければ市場競争に負けてしまう勢いでした。当時すでに管理職についていた私は、若い
技術者を指導する立場にいました。しかし、回路設計ではまったく通用しません。設計の基本思想
や開発コンセプトをリードすることは可能でも、デジタル技術の本質を見抜ける技量はありません
でした。技術者として限界を感じていました。
そのとき広い知識が絶対に必要であることを体験で痛感しました。過去の体験からだけではベス
トなアイディアは出てきません。成功体験が強ければなおさらです。特に本質的な問題を見つめる
目を養うには、ビジネス書ではなく学術書に接触しておく事が大事です。これは技術だけでなく、
経営管理も同じです。そのような実体験から本書を書きました。
本書の作成では、自分ですべてをやりました。文章を書き、編集を行い、印刷をし、製本まで全
てです。自分が蓄積した知識をすべて書きつくしたかったのですが、甚だ疲れましたので、この辺
で一旦終了としました。本作りは楽しいことも多々ありましたが、肉体的苦労を伴いました。過去
に書いた文章を集め、なるべく文体を整え、新しい知識の織り込みと色々手をかけました。パソコ
ンが暴走し、両面印刷するのに何度か失敗し、表紙をデザインし、出来上がりをボンドで糊付けし、
大変でしたが楽しい時間でした。
2005年6月 自宅にて
本の制作は色々なアイデアを出しました。綺麗に作りたいのですが、A4の大きさがネックで背表紙は
どうしても別の紙を使うことになりました。
印刷済の紙と製本のための道具

印刷、インクの乾きが遅く、沢山プリントすると
紙が汚れるので、ランプの熱で乾燥させている。
更に手を添えて、印刷済の紙の上に新たな紙
がかぶさる時にこすらない様にする。
インクジェット方式は、水に弱い。黒はすぐにに
じんでしまう。
印刷が終了したら糊付け。普通のボンドで背表紙部分
を糊付ける。上下から押さえ木で紙がバラバラに
ならないようにします。

糊付けが終了したら、重しを乗せて30分ほど放置します。

背表紙
黒で印刷すると手で触るとインクが落ちるので青で印刷。

仕上げです。背表紙を糊付けして完成。

再度、半日は固定して放置します。
出来上がりです。
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