少年ガンガン創設におけるスクエニ出版分野の紆余曲折
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 4 ―――― ガンガン創刊と、バブル崩壊への道
第4巻連名
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推定党役職
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■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第4巻 湾岸戦争終戦3日前の1991年2月25日初版。時代を振り返ってみれば、湾岸戦争がきっかけで、日本の好景気は一気に減速、以後10年余にわたるバブルの後遺症に悩まされることになろうとは思いもよらなかっただろう。 ドラクエ4コママンガ界も、隆盛期の頂点を望む。後に編集部との確執が本当であったとされる新山たかし氏初見の回。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 5 ―――― 4コマクラブ創設とガンガンへの分水嶺
第5巻連名
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推定党役職
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■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第5巻 F1レーサーの中嶋悟氏の引退が発表された4日後の1991年7月29日初版。この二日後には、ロッテが川崎球場から千葉マリンスタジアムに移転する旨を発表している。第1巻から1年と半年を経て第5巻刊行とハイペースで来たドラクエ4コママンガ劇場も画期を迎える。作者ごとのサブタイトル、1ページ漫画、そして素顔を知ることが出来る楽屋裏コーナーも4コマ枠で開始された。 |
▼1992年の世情は、バブル崩壊が音となり聞こえ、後に日本に一転換を与えることになる細川護煕氏率いる日本新党の結党が在野で起こった。バルセロナオリンピックに沸き立つ世にあって、7月に参院選自民復調。その2ヶ月後にはドラゴンクエスト5の発売となる。
休む間もなく連発されてきたドラクエ4コママンガ劇場も、ここになって半年以上の間隔を伴うようになってきた。月刊少年ガンガンへの注視と、4コママンガクラブと称するエニックス党の始動に向けた準備期間と見てほぼ間違いがない。補助要員であった松本英孝氏、蓼氏、さがわゆめこ氏らが脱退を余儀なくされ、エニックス党が本格的に活動を始めることになる。旧エニックス党時代から現在に至るまで栗本和博党首らと並ぶ重鎮・きいろ(現・田村きいろ)代表代行を始め、衛藤ヒロユキ氏離脱後の穴を埋めるに充分な活躍をされる牧野博幸氏、独特なオチが特徴だが、早期離党のために心象が意外にも薄い中井一輝氏などのフレッシュな面々が連名。そして何よりも、第1巻から4コママンガ劇場を支えてきた柴田亜美氏の離脱はそのハイクオリティなギャグ作家には似つかわしくないと思うほどに粛々とした最後を飾ってくれていた。柴田氏の離脱で、4コママンガ劇場の頂点は極めたと言っても良いだろう。個人的には、柴田氏を始めとする離脱作家陣のドラクエ5ネタにも期待したかったがこれは致し方がない。
第6巻連名
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推定党役職
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■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第6巻 1992年3月7日初版。平均3ヶ月間隔で連発されてきた前巻までとは打って変わって、7ヶ月弱の間隔を開けての続刊となったわけだが、この間に大幅な人事刷新が敢行されたと見る向きもある。約半年後の9月27日にドラゴンクエスト5発売を控え、次第に次回作に向けた期待を感じさせた広告が目につく。楽屋裏が1ページ枠に拡大。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 7――――ドラクエ5発売と猫乃氏離党
▼いわゆる50年体制に終止符を打つことになった、非自民系の社会・新生・民社・さきがけ等八党による細川連立政権樹立という、歴史的な年となった1993年は、自民崩壊に象徴されるようにまさしく日本のバブルが崩壊し、以後10年以上にわたる混迷の時代へと突入してゆくことになった。ドラゴンクエストの人気も4以降は翳りの色を見せ始め、92年の5発売以降、開発から発売の期間が次第に空くようになってゆく。バブル崩壊後とはいえ、“結婚”“出産”に象徴する、いわゆる“家族”をテーマとした5ネタの初披露と言うこともあって、第7巻に寄せる期待は大きかったと言える。独特のギャグでスターダムに飛躍した柴田氏の離脱後、その後継を期待していた猫乃(児島)都氏だが、5ネタは披露されないまま、盟友の柴田氏に追従するようにエニックス党を離党する。5のソフトはあるがSFが無い…と楽屋裏で吐露しているが、憶測としてすでに柴田氏離脱に絡んで自身の離脱に焦点を当てていたのではないだろうか。
党内事情としては彗星の如き登場に沸いた中井一輝氏は語り種となる。主婦作家を公言した染宮和子氏の温かみのあるネタ、牧野博幸氏のネタ展開も徐々に本領発揮となってゆく。
第7巻連名
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推定党役職
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■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第7巻 1993年1月18日初版。5発売から約3ヶ月と言うこともあって5ネタが目白押しとばかりに連なっているが、前巻から10ヶ月という長期空白を生んだ。柴田亜美氏離脱後の後継として注目していた猫乃(児島)都氏もこの巻を持って離党。以後、主にホラー漫画家としての道を歩み始めることになる。主婦兼漫画家・染宮和子氏も掲載枠を確保。さすがはドラクエ5効果か。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 8――――世代交代色がより強まる若手の台頭
▼自民党政権が倒壊し、50年体制に幕が下りたばかりの93年衆院選直後に、ドラクエ4コママンガ劇場も8巻目が発売される事になった。しかし、初期の頃のように、短期間で敢行される傾向は完全に薄れ、6巻から7巻が約10ヶ月、7巻から8巻が約半年と刊行間隔が次第に広がってゆく。ガンガン編等とのかみ合いがあるのだが、やはり柴田・猫乃両氏の離脱から“勢い”が変わりつつあるし、連載作家陣のマンネリ化傾向が徐々に顕著になってきていることは事実である。多彩な作家がゲストとして招かれているガンガン編の勢いに圧され、本家本元の4コママンガ劇場にも改めてテコ入れを必要とする時期が来たと感じる。石田・衛藤両氏はそこはかとなく離脱の色を仄めかす表現を楽屋裏で示す一方で、西川秀明氏が離党し、結果として中井一輝氏も離党を余儀なくされている。栗本和博氏が初めて巻頭カラーを落とした事に象徴されるように、世代交代の波は確実に押し寄せてきていたと言えよう。その中で、新進気鋭の作家・池野カエル氏の登場を見る。後にドラクエ5・4コママンガ劇場においてなお古参の重鎮としてスクエニを支えてくれる、貴重な作家の一人である。
第8巻連名
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推定党役職
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■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第8巻 前巻から約半年。1993年7月25日初版。衆院選で自民党が野党に転落したその余韻冷めやらぬ中、間もなく発売。その1ヶ月後には、レインボーブリッジが開通した。この巻では巻頭カラーを飾っていた栗本和博氏が初めてその座を譲渡する。また石田和明氏、衛藤ヒロユキ氏らの脱退傾向が強くなる。西川・中井両氏の離党。重鎮・池野カエル氏の初見。 |
October 31, 2004