不況厄災下でのドラゴンクエスト6の発売と、混淆する新旧交代
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 9 ―――― 進む人事刷新と、ギャグ王創刊
第9巻連名
|
推定党役職
|
|
■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第9巻 前巻から9ヶ月後。細川連立政権が事実上崩壊する1週間前の1994年4月2日初版発行。この頃になると、元勲であるすずや那智氏、新山たかし氏、4コマクラブ(エニックス党)のホープ・牧野博幸氏による巻頭独占が目につくようになる。浅野・三剣・川本らの純粋エニックス党若手の登場が盛ん。代わりに世代交代を仄めかしてきた石田和明氏、ガンガンで多忙化の衛藤ヒロユキ氏が離党する。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 10 ―――― すずや氏退任とホープ幸宮氏の登場
第10巻連名
|
推定党役職
|
||
■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第10巻 阪神・淡路大震災の記憶が新しい1995年1月17日。奇しくもその二日前に初版発行。被災者の中にはこの10巻をご覧になった人もいるだろう。長年4コママンガ劇場を支えてきたすずや那智氏が4コマ本編を退任することになる。一方で急成長株の浅野りん氏が巻頭の座につくなど、期待の大きさをうかがえた。また夜麻みゆき氏もガンガン系での連載枠維持のために離党を余儀なくする。 |
▼ガンガンやギャグ王を始めとして、エニックス出版界にも生え抜きの作家の発掘に傾注する保坂氏の手法が徐々に結実してゆく。世代交代を急速に進め、保坂派の確立に腐心した結果、奇しくもエニックス党全盛期とも言える作家によって固められた第11巻の連名となった。保坂氏は派閥結成を水面下で推し進める一方で、エニックス党出身作家の取り込みを目算。ガンガン系出身作家の箱田真紀氏を代表格として、結果的には多くの作家がエニックス党を離党、マックガーデンへと移籍してゆくのだが、保坂氏の目論見は浅野氏が早々の離脱宣言をし、一応の成功を見ることにはなるのだが、根幹的にエニックスを揺さぶるまでには至らなかった。幸宮氏の残留と、牧野氏の逡巡。三剣氏の引退が待ち受けていたからと見る。
後にスクエニイラストレーターの旗手となる村上ゆみ子氏の登場はドラクエ4コママンガ劇場、ひいてはドラクエ全域におけるルネッサンス的存在であったことは否めない。
第11巻連名
|
推定党役職
|
|
■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第11巻 1995年9月18日初版。近年のドラクエ4コママンガ劇場サイクルにしては、早い約8ヶ月ほどでの続刊刊行となる。エニックス党出身作家によってほとんど固められ、前後をしてエニックス党の最盛期を思わせる錚々たるメンバーが連名した。新鋭・村上ゆみ子氏が総扉・目次・巻頭を獲得するなど、その実力の高さを初見から見せつけた。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 12――――DQ6登場と浅野氏離党、新鋭山崎氏勃興
▼1995年末にドラゴンクエストVIの発売を見るのだが、不景気と相次ぐ災害・災難によってかつてのようなドラクエの勢いはすっかりと形を潜めてゆく。すでに二大RPGの片翼、旧スクウェアのファイナルファンタジーに株を取られていたエニックス・ドラゴンクエストは、復権の見通しが立たないまま、VIの予想外の不振によって党内バランスが崩れ、再編の動きに拍車が掛かるようになる。
党内再編の動きによって、将来を期待されていた浅野りん氏が早々に離党を宣言。元々あまり気乗りのしない感じの浅野氏の言動には惜しむらくもあったが、ドラクエ4コママンガ劇場をひとつの踏み台にすると言う漫画家当然の心理を代弁しているものではあった。新山・田村・牧野・村上・幸宮のエニックス党の地位が固まりつつある中で、更なる復権への道筋を立てたのが、新進気鋭の作家・山崎渉氏の登場であったと思われる。結局、ドラゴンクエスト7の発売を待たずしてドラクエ4コママンガ劇場の歴史は閉じられるのだが、今後は山崎氏を加えたエニックス党によって安定に終始することになる。
第12巻連名
|
推定党役職
|
|
■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第12巻 1996年3月23日初版。ドラゴンクエスト6発売後初の4コママンガ劇場で、「ドラクエ4コママンガ劇場」としては6が事実上最後の新シリーズとなった。鳥山明氏の絵柄に酷似していると評され、今後ガンガン編やギャグ王においても一大勢力を築き上げることになった山崎渉氏が初見。すずや那智氏はカバーを最後に離党。きりえれいこ氏も事実上離党した。 |
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 13――――エニックス党・安定期の確立
▼1996年は村山政権の終焉と共に、自民党政権の復活が成し遂げられ、また病原性大腸菌・O-157の大流行と政治的にも世情的にも世界を震撼させるほどの大事件というものはなかった。やはり1995年の世情に比べれば、そうとも言える。
ドラクエ4コママンガ劇場も6年目を迎えて13巻目の発行と、振り返れば格段にペースは落ちたものの、依然としてゲーム4コマの中心的役割を果たしている部分は大きい。ガンガン・ギャグ王などの場も含めれば相当に安定感を覚え、そこはかとなく伝わってきていた党内事情に、一応の区切りがついたことを思わせる。この頃からエニックス党幹事長格の牧野氏が中心的役割で参加諸氏を引っ張ってゆく。小椋みき、ふじいたかし氏も地道な活動。浅村イオン(現・藍月イオン)、あずき・まめお、白鳥ハト氏らが初見。藤森ナッツ氏は元々FE系での活躍を希望したとされているためかこの回をもって離党している。ゲスト参加的な金田一蓮十郎・丹羽俊晴両氏もなかなかいい味を占めていた。
第13巻連名
|
推定党役職
|
|
■ドラゴンクエスト4コママンガ劇場 第13巻 1996年9月20日初版。前巻・前々巻と同じく半年のサイクルで続刊発行に至る。紆余曲折を経てドラクエ4コママンガ劇場の復権を匂わせつつ、安定期へと向かう様相を見せた。 |
October 31, 2004