INN nostalgia Game Essay
公式ビジュアルガイドブックは、イベントシーンやお約束の設定資料などの、メモオフファンや、私のような二次創作作家には必須の本。しかし、付録だというページの最後にある卓上カレンダーの硬い紙ははっきり言って邪魔!本を開きづらくしている。切り落とすのも面倒
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●メモオフらしさを踏襲した意味での成功作
この作品の特徴は6人のヒロインのうち半分が、バッドエンディングを迎えると海外に逃亡してしまうということだ。一人はオーストリア、一人はアメリカ、一人はフランス。よくぞまぁ、それほど伊波健から逃れるためとはいえ、随分と遠くまで行かれるものぞと感心してしまう。お金持ちは違いますなぁ。
失恋、果ては健から逃れるため、それだけのために外国へ……。知人にこのネタ話したところ失笑されました。普通そうでしょう。 生まれてこの方、飛行機には乗ったことがあるが、新幹線にはまだ一度も乗ったことがない。だから何だと関係ないことだが、主人公を取り巻く環境は基本的に皆裕福であると言えよう。 そして一部賛否の激しい打越氏の白河ほたるシナリオは本編をプレイした諸卿ならば言わずと知れる。なんて言うかその……。お汁粉とパフェを食べた後にカフェオレを飲み、デザート追加とばかりに餡蜜と和菓子ですか。ようまぁ耐えられないと言う意見も良く聞くが、不肖鷹嶺も初めてメインヒロイン・ほたるエンドを見た瞬間はマジで吐きたくなったと言うか、暴れたくなったのを覚えている。そりゃあ、授業中にいきなり行程のど真ん中にトラックのラインを引く奴(名前忘れた)で、恥ずかしい文章をデカデカと書いた挙げ句に全校生徒が見守る中で熱いラブシーンと来れば私でなくてもそうなるでしょう。 だが、他のヒロインを攻略して初めてほたるのエンドについて若干の理解を得られたと言えるのだが、何にもまして“ほたる的ギャグ”とメモオフ必須のアヤシイ食べ物にはある意味メモオフのセンスを見る。 今回は静流編に代表される“フルーツスープ”なる物体。白桃のスープか……、少なくても、“かきコオロギ”よりは美味いだろうがね。 そして物語全体で見れば、なるほど季節感が出ていてその点は大変よろしかった。私的には別にヒロインたちの水着姿などに興味はないのだが(それに萌えるピークは過ぎたんだよ)、TUBEやサザンの曲よろしくなかなかイメージを捉えやすい作品であったと言える。そして何よりもメモオフらしさ。個々を通してみればどれもそれなりに秀逸した物語なのだが、さすがに前作の二番煎じとはならず成功。今回誰が死ぬのかトトカルチョすらしようと思っていたのだがね。 |
●声優陣の演技力は重要だと思うのだが……
声優か。ギャルゲにおける声優陣寸評は勇気がいるからあまりしたくないのがね。初回限定版についていたメイキングディスクにおける格ヒロイン役の声優陣のコメント等を聴くに及びそのキャラクタに対する役作りというか思い入れが素人目にも結構はっきり伝わったような気がする。近年良く名を聞く水樹奈々(白河ほたる)や池澤春菜(南つばめ)はそれ相応に楽しんでいると見ているのだが
、南里侑香(相摩希)はご自身訳わからないまま演出に役柄についてアドバイスを受けていたと吐露。そんなんでいいのか? 最近の業界はわからんね。
そう思う私が年を年取っているのかどうかはわからないが、さすがに演技力の高い舞台俳優を兼ねる声優が多かった先年頃とは違って、学校出身とかアイドル声優が多いようで。千葉紗子(寿々奈鷹乃)などはおいおいあなた、それ演技してるのか? などとコメントや座談会の様子を見た瞬間思ってしまったりする。彼女たちの他の出演作は知らないので、あまり大きな事は言えないのだが、率直に演技力を問えば諸手をあげて拍手したいような場面ははっきり言って皆無である。まあ、こればかりは諸卿の個々のイメージによるものだから何とも言い難し。ただ、一度は演劇を夢見たことのある私から言わせればみんなどこかしか取って付けてますね。少なくとも水樹や池澤はさすがに知名度がそこそこあるらしく、アイドル声優としては上手いと言えるのだろうが。 とかくメイキングディスクに収録の座談会なるものを見るに、何かすんなりと言いようのない感情が胸を捉える。特に仲西環(飛世巴)の話は失笑の連続。見終わった後、「メイキングディスク、見るに及ばず」と思ってしまったのは果てさて私だけだろうか……。 |
基本的にMO2の攻略チャートを掲載した本。私のような二次創作ネット作家にとって、参考資料としては必須の本だが、熱心なファン以外には斬新さには欠ける内容。同じく3大特典と銘打つ付録が邪魔!
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●Hの必要性についての見解
健全なるメモリーズオフファンに喧嘩を売るつもりはないのだが、興味のある方だけ聞いてもらいたい簡単な話。
メモリーズオフをPCに移植するとするならば、やはり望みますか? エッチシーン。 無闇やたらにエッチシーンを盛り込むPCギャルゲーは多々あり、必要性があって、あえてエッチシーンをカットしてコンシューマに移植される作品は厖大の域に差し掛かっている訳だが、逆のパターンはどうだろうか。 Hの必要性から言わせれば、単刀直入にメモオフは『YES』である。全体の話の流れからして取り込まないと言う方が逆に不自然さを出していると言える。それは何も全員にとは言わない。たとえば前作の三上智也と今坂唯笑の、豪雨の中で仲直りするシーンはとかくそうであった。 セカンドにおいては白河ほたるは恋人である設定上、無いことの方がおかしいし、ギリギリの線で南つばめ編には先行きを示唆した描写が残され、場面が移る。白河静流編も流れ的には必要があるし(むしろ無いと、二人が交わした言葉の意味の重要性が損なわれる)、飛世巴編も必然でなくても、是非欲しかった気がする。無くても良いと思うのは、相摩希と寿々奈鷹乃の二人。 コンシューマの制約は仕方がないにしろ、むざむざストーリーの幅を広げる部分をカットせざるを得ない苦悩は実に惜しいかな惜しいかな。 諸卿、考えてもみてください。たとえばほたるが成り行きで伊波健の部屋に泊まる回(南つばめ初登場時)の描写は、傍目から見ても納得できません。おいおい、それですむわきゃねーべ! みたいな。 逆にいい若い者が不健全なことだろうぞ。直接的な描写じゃなくてもいいと言うことを私は言いたいのだが……? |
●メモオフ2熱の時が過ぎて触れた総括的感想
発売日に手に入れて七ヶ月後にようやくまとめてコンプリートしたわけだが、単純に言えば面白い。難しく言えば各エッセイをご覧あれと言うこと。KIDの最大のヒット作における意気込みを窺わせる内容には色あせた心象はなく、ささきむつみ氏のキャラクタにも更に魅力が増して申し分はなかった。
ただ、やはりこの情報夥多の日本社会において、どうしてもマンネリという言葉が取り憑いて離れない。斬新な物語を生み出しても真夏の生物のようにすぐに傷んでしまうのは実に惜むらくべきこと。私たちメモオフファンらが支援することで絶大長命な維持を保っているのだが、メモオフに限らず、あまりにも凝りまくった物語は逆に印象が薄くなってしまうのは皮肉と言えよう。 結果として、前作の二番煎じにならなかったのが何よりの救い。キャラクタを重ねて新規ファン層の獲得に含みを残したと言えるのでは無かろうか。 メモリーズオフ2ndは季節感もさることながら、全キャラクタのストーリーを通して、恋愛にとらわれない人間の情の片鱗を見せてくれた作品であった。現実を言えば、価格相当の物語である。鷹嶺 昊自身としては、一度プレイする価値はあると言っておこう。 |