INN nostalgia Game Essay
Memories Off 2nd Favorite Essay
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Age:17 born:9/3 blood:B size:168cm 51kg
CV:千葉 紗子
My her image song: いつか僕の腕の中で(DEEN)
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裏切りと誤解に失われた夢取り返す、健の激励
▼男子寄せ付けぬ稜威の仮面、機微に見た少女の素顔
メモリーズオフセカンドの中で、不肖鷹嶺 昊が最も推薦するシナリオのひとつであると言えば趣味そのままと言われそうだが、入れ込み性を言えば、澄空学園の双海詩音よりは即効性があったと断じられる。
冷静沈着、男嫌いで同性にもて、ましてや面倒見よく威厳あると来ればさながら蒼氓の一草である私からすれば、雲上の神々に等しい彼女と言っても過言ではない。初登場が、後輩に絡む街の不良男数人に対し、さながら故・宇野宗佑元首相を退陣に追い込んだ女将のような威圧で退散させる。彼らもまた後に明鏡止水と謳ったのであろうか。
まあ、不良男たちはともかくとして、人間性善説を信じたい私は、彼女のように生来男嫌いという性格どころか、『男嫌い』という極端な位置付けは滑稽であると考える。彼女に限らず、あらゆる物語において人を惹きつけぬ陰の気漂わせる者には暗鬱とした過去が存在するものであることは、今更私が述べることでもあるまいし、それが定番である。
そして、閉ざされた心を開く一人の男性の存在。彼女と結ばれる伊波健は、前半の経緯いかにであろうと賞讃が出来よう。少なからずも『男嫌い』という烙印を押されつつある孤高の女性鷹乃の張りつめた心を解きほぐしてありのままの彼女を取り戻させたわけだからな。鷹乃の後輩・舞方香菜を不良男から救おうとして玉砕した健は、この時点で、今の現実の男子たちにあり得ない勇気ある行動だが(絡む連中もそういないだろう、ましてや田舎色濃い町では)、そんな健を痛烈に非難する鷹乃。後述の白河静流を「鉄壁の女性」と評した伊波健だが、ならば寿々奈鷹乃は「デイジーカッターの女性」とでも言っておこうか(分野が全然違うたとえだが)。そんな彼女が健の去り際に「ありがとう」と呟いたことで、最初から漠然とした白河ほたるとの関係が、雲散し始めるきっかけとなったのであろう。また、男子たる者、弱いんですよね、このふと見せる気丈な女性のしおらしさに。
▼曖昧たる恋人との繋留、脆弱な絆を断ち切る強き憂心
鷹乃編は、ある意味で伊波健と白河ほたるの、何よりも固くて、何にも増して脆い恋人の絆を露呈していると言えよう。信じる心も純粋すぎては逆に意味がない。諺に曰く、「水清ければ魚棲まず」であろう。前半ののろけ話も一転、鷹乃とふれあってゆくうちに、伊波健はほたるに対して緊張感を損ねた行動が目立つようになる。非難するわけではない。健を弁護するつもりではないが、所詮はほたるとの関係はそのようなものであったのだろうと言わざるを得ず、メモリーズオフ2nd全編を通じての二人の本質を垣間見るようだった。
鷹乃に寄せる思いはただの憂いであっただろうが、憂いが時として一番強い愛情と成り代わる事もあることを示すのが、二度目のほたるとの約束の場面であったと言える。似ていて遠いが、自身もはるかな昔同じような経験があるので一概に健を非難できない弱い奴なのだ。
私が言えばひねくれていると言われそうだが、小うるさいほどに携帯電話を使って必死にもつれた絆を解きほぐそうとする健。「たかが電波を使って何をするのか!」などと、携帯嫌いの私はそう思う。
結局は強固な絆に頼り切って、その脆弱さに気づかなかった二人は、鷹乃という高みにある存在によって不本意ながらも打ち砕かれてしまったと言える。健が見せた、些細な憂心が愛に変化した奇異な例である。
▼絶え間なき健の愛、孤独に打ち克った鷹乃の真実との直面
白河ほたるという柵から解放された後の伊波健は批判目から見ても一目置くほどに献身的な気遣いを鷹乃に捧げてゆく事になるのだが、これぞまさしく伊波健が、「今の世に稀な律儀者」と、はるか昔徳川家康が関ヶ原の戦いで西軍についた水戸藩主・佐竹義宣を評したように同等の高評を与えようと思う。鷹乃個人の事情は遠からず澄空の双海詩音に通じるのでここでの蘊蓄は控えるが、疎まれ蹴られ、貶され蔑まれながらも一心に鷹乃への愛情を捧げる伊波健。ほたるに対する時とは偉い違うではないか。きちんと目覚ましセットしているしね(笑)
やはりいかに恋愛がうまく軌道に乗っていたとしても、緊張感を忘れてしまえば果てしない彼方まで吹き飛ばされてしまう。「恋は重力のない宇宙に漂うようなもの」という私の持論は間違っているだろうか。ほたるに寄せていた想いと、鷹乃に寄せる想いの差は、他編での伊波健とほたるの関係にあながち無為とは言い切れないだろう。いつの時代でも、一心に貫く誠意と愛情は良いものだし、相手に必ず通じるものなのだろう。
さて、比較するのは烏滸がましいかも知れぬが、鷹乃編とkeyブランドの『AIR』特に遠野美凪編は、あるテーマでどこか共通している。鷹乃の経緯を語ればAIRよりははるかに陳腐で、涙をぽろぽろ流す程でもないのかも知れないが、インテンションは決してAIRに劣らないものがあると信じたい。どうしても彼女を取り巻く事情が現実と比較してしまえばなかなか難しい立場なので仕方がないのだが、何だかんだと第三者の私がリベートを弄する政治家のように御託をタラタラ並べてもどうしようもない(何を今更)。
伊波健の不屈の愛情が鷹乃を変え、夢を取り戻させたことに対して、健に表彰を与えたいほどであるな。しかし……さるおとぎ話が鍵となるとはなぁ。やられたというか何というか……。さすがです。
April 18, 2002