INN nostalgia GAME COLUMN

メモリーズオフ~それから~


©KID
CV/こやま きみこ
Age:20 Birthday:5/4 Blood:B Height:156cm Weight:44kg
INN nostalgia INSPIRATION SONG
Remind
徳永英明(2000) 作詞・作曲/徳永英明

――――止まり続ける悲劇の時間。虚空の先に乗り越えた真実

 


繕われた笑顔に隠された十年の時間。届かぬ虚無の響き

野乃原葉夜が一度だけ見せた激情の場面が終盤にあるが、彼女の物語は全てこのシーンに集約されていると言っても良いだろうが、鷹嶺個人としては、鷺沢一蹴が極度の自責の念に囚われてしまう様なほど、当時完成された感情を持っていたのだろうかと考えさせられてしまうのである。
それよりも、葉夜自身が父親の死を認識できずに記憶を封印し、帰らぬ父を待ちつづけているという人生。まずは現実にあり得るものでもないし、それを半ば諦念の情をもって感化している家族にこそ大いなる問題があるのではあるまいか。事情はどうであれ、葉夜の父が死去したことを認識させ、鷺沢一蹴を恨むにしろ恨まぬにしろ、あたら若き十年の青春を無為に過ごすことになってしまったのは、家族の所為である。物語本編のようほどに一蹴が強い責任を覚え、住んでいる町を去ってゆく程のことではあるまい。黒須カナタが申す通り、それでは一蹴が格好良すぎである。得てして、メモオフの主人公らしくはない。

意味を失した果凛との友情、複雑さが解りづらく……

これは個人的な好みの話になってしまうのかも知れないが、結局葉夜の大原則を追究すれば、花祭果凛・黒須カナタとの断琴の交わりが意味を失してしまったと言っても過言ではない。
正直な感想を言えば、鷺沢一蹴を巡る葉夜と果凛の確執も、実は対立にも確執にも至っていない。着実に葉夜が先手を打っている。果凛が後日参入したところで、一蹴に向ける思いの丈は今ひとつ迫力に欠くところがあってしかる。言葉は悪いが、葉夜編によって果凛は一方的に熱を入れ、一方的に臍を曲げたとしか思えず、振り返れば果凛編における彼女は、一蹴の奇跡的な愛情が、彼女に向けられただけに過ぎない。葉夜が懐く超宇宙的な哲学論は名実共に周囲の細々とした感情すら呑み込んでしまうと言う、実に怖ろしくて寛大な存在感を誇示していると言えよう。それが結果として、終盤になり果凛の存在を完全に忘れさせた葉夜の凄さなのである。

メモオフらしきキャラクタ、その地位依然強固にあり

野乃原葉夜は正直、メモオフらしいキャラクタであるなと感じる。双海詩音、南つばめ、北原那由多に通じる、心の闇を具に出した存在感。これは個人的観点だがメモオフの人気の屋台骨でもあり、シリーズを支え続けている原動力ではないだろうか。正直言って、この第四作までのメインヒロインだけでは、今ひとつパンチが弱い。負の印象を持つ、かといって無為に暗いだけのキャラクタではないところが惹きつける。ぶっちゃけ、鷹嶺としては葉夜には魅力はあまり感じない(と言うよりも、押しがいまいちない)ので、個人的には可否はないと思うのだが、彼女の存在があるのと無いのとでは、この作品の評価は雲泥の差があっただろうと思える。とは言っても、まあ第一作の桧月彩花のような極めて突出した存在意義には遠く及ばないのは確かなのだが・・・。のんちゃんファンには申し訳ないね。