INN nostalgia GAME COLUMN
メモリーズオフ~それから~
©KID |
CV/水樹 奈々
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懸念された鳳雛の実情、蛍光の想い今ひとつ届かず
才能を見出した天才鍵盤士、ルネサンスの走狗に自ら化す。報われし努力
メモリーズオフ2ndでの悪名を響かせて以来の再登場である白河ほたるは、ここに来て漸くまともになったかなと言う印象がある。
欧米の三流映画でもあるまいがという2ndでの極めて非現実的なラストを未だに惚気ていたとしても、私から見ればそれは果てしなく過去のような話に見える。
本来、ほたるのようなキャラクタはその天然に近い明るさをして陵いのりの背中を後押しするような存在が相応しい。まあ、いのりがほたるの期待に添えるような存在であったかどうかは別の問題にしても、この度の立場は純粋にそう思える。待て。それでは2ndで一応主役を張った彼女の立場はどうなるのか。そこはまあ、この数年で成長したものだと思えれば良いかも知れぬな。
それはともかくとして、随分と彼女も大変な立場ではある。陵いのりの我が儘に加え、留学先であるウィーンとの交流。普通ならばいずれ精神が保たぬとばかりな筈だが、どうもそんな様子でもない、むしろ現状を楽しんでいるようにも見えるのだから大したものである。
さて、結果としては陵いのりとほたるとの関係は、ほたるはこのメインヒロインの人生の通過点にいただけに過ぎなかったが、ほたるはそれでも立派に存在意義があったのだと信じたいところだ。素質を捨てようとしたいのりの復活にここまで躍起になれるのは稀有な存在。さすがは2ndにおいて、予選も受けないうちから優勝を超えて世界に出た時を心配していた自信の巨魁・白河ほたるらしい余裕。ライバルの失墜を天運と見たのか、アテネオリンピックでの男子体操団体のルーマニアの自滅もなんのそのだったろう。
それにつけても、メモオフ歴代の主人公達はいつになっても成長しないものなのだろうかね。三上智也にしろ、彼女にとっての伊波健にしても。漏れ聞く言葉の節々に見る彼らは相も変わらず閑吟に興じているのだろうか。ヒモにはならないように祈るばかりなのだが。