INN nostalgia GAME COLUMN
メモリーズオフ~それから~
©KID |
CV/小林 沙苗
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Age:18 Birthday:8/21 Blood:O Height:160cm Weight:42kg
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INN nostalgia INSPIRATION SONG
JUSTICE
徳永英明(1990) 作詞・作曲/徳永 英明
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――――救済を図った嘘、自らを傷つける。創痍の代償、余に過大なりて
怯弱なる想い、純真の悪女と化して一蹴を惑わす。メモオフ随一の不条理
まずは、いのりファンの諸兄に対し心から謝っておこう。今後書く内容は、メモオフ。とりわけいのりファンの方は読まない方が良いかも知れない。
メモリーズオフ~それから~を購入して、一番最初に攻略したのが主人公の妹・縁だった。その時に鷹嶺はメインヒロイン・陵いのりの残忍非道ぶりを激しく非難したのだが、その時に懐いたいのりに対するマイナスのイメージは、いのり編から彼女の真エンド(トゥルーストーリー)を通じて、終に払拭されるに至らなかった。非常に残念なところでもあり、また同時に我ながら第一印象ほど確実なものはないなと言う事をまざまざと実感させられたのである。
そして、鷹嶺のギャルゲー人生の晩年において、本来まっ先に非難されるべき主人公のキャラクタよりも、ジャケットイラストにポーズを決めているメインヒロインこそが諸悪という、極めて異例ずくめのストーリーであったことが、おそらく今後プレイするかも知れない美少女ゲームでは決してないだろうと思ったものである。
かいつまんで申し上げれば、いのりの生き方は個人的にどう譲歩しても同情に難する。鷺沢一蹴依存症ならばどうぞ精神科に行ってそれを克服していただきたい。決意を鈍らし、甘えが残っているならば貴女には一蹴という哀しい男よりも、もっと相応しい男を見つけるべきであります。これはトゥルーストーリーのエンディングを触れてみて暴発しそうになった我が心情だ。いのりと同じ選択肢を一蹴が選んでいたとしよう。間違いなくバッドエンドに片づけられてしまう。それがトゥルーエンドとはこれいかに。一蹴・・・いや、プレイヤーを馬鹿にするのにも程があるだろう。
喪った親友のために自らを封じ卑屈に徹する愚女。歴代の華とは雲泥の差
それは桧月彩花と今坂唯笑、白河ほたると相摩姉妹を一つの重箱に詰め合わせたようだと言えばかなり分かりづらくなるかも知れぬ。いやはやとかく陵いのりという少女は、実はかつて鷺沢一蹴と同じ時を過ごした幼なじみであったという訳であるらしいが、キーマンは病死したとあるもうひとりの少女の存在だったという。その少女を巡り、または一蹴が彼なりに力を尽くした果ての哀しい巡り合わせを枢軸としてこの“メモそれ”は展開してゆくらしいのだが、このメインヒロイン・陵いのりは極めて卑屈で自虐的な生き方を成してきている。劇中でいずれかが「彼女はとても強い」と言っているのを憶えているが、何々それは買い被りすぎである。
言葉は悪いが、少女の死をきっかけにして秘恋の鷺沢一蹴に言い寄り、事なきままに十余年を過ごしてきた。少女に対する思いからか、或いは一蹴に寄せる想いのためかとはいえ、過度とも言える自らを封じ生き続けてきた彼女の行動は、飛田扉ではないが納得・許されざるものではあるまい。私から言わせれば、何もそこまで苦心することがあるのだろうかと。正々堂々と亡き少女に対し、一蹴に向かえば良かったのだろう。ピアノを始めたきっかけは如何にしろ、止めるのは勝手だが少なくとも白河ほたるほどの説得力に乏しく、結局は卑屈に生き続けてきた彼女自身のツケが回ってきたに過ぎない。それなのにこの期に及んで一蹴に依存する姿には未練がましくて目にも当てられなかった。止めるならばキッパリとピアノの「ピ」の字も言わないで欲しいものだ。それが彼女らが言う贖罪の最低限の一つではあるまいだろうか。
とにもかくにも、陵いのりというヒロインは、メモオフ史上・いや、ともすればギャルゲー界においてワースト1,2を争うベースなキャラクタではないだろうか。いやはや、見た目や言動に惑わされてはならないな。
各ヒロインによって見出された、天使と魔女の二面性、一蹴の将来あわや
陵いのりは特に各ヒロインによってはその二面性を強く具現したキャラクタである。本来の彼女の生き方や考え方からすればどうにも理解に苦しむ。いわゆる先述の鷺沢縁、藤原雅各編に見えるそれである。余計なお世話かも知れないのだが、よくぞそこまで自分を偽り続けながら、自身目指した「ほたるのような音色」を奏でられるものであると。これを合わせてみれば何々、陵いのりという少女は大したタマである。いずれ将来、鷺沢一蹴を尻に敷く以上に手玉に取るか、鴛鴦の絆を以て世界に羽ばたく大人物になりかねまいぞ。意外にもこうした強大な存在というのは打たれ強い踏まれ強い。野に咲く雑草の花……いやはや、世界最大の花・ラフレシアか。匂いはともかくとして彼女に似合う花はそれとしておこう。
まあ、現実にこの様な女性はいまいとすれども、実際にいたとしたら鷹嶺は正直勘弁してもらいたいものである。エクトプラズムまでも吸い尽くされ、エジプトの木乃伊も驚かんばかりになってしまうことうけあいだ。そんなわけで、罪に苛むいのり殿には、徳永英明氏の「JUSTICE」という曲を贈ろう。貴女の生き様は、ある意味現代社会を皮肉るために寸分なりともお役に立てていると思いたいからだ。君と一蹴君の前途が洋々であることを祈っているよ。せめてな。