INN nostalgia GAME COLUMN

メモリーズオフ~それから~


©KID
INN nostalgia inspiration song
My Life
德永英明(2004) 作詞・作曲/德永 英明

忘却せしめた因果の鎖、悔悛を許さず艱難に苛む


メモオフ史随一たる惻隠の主人公、憐愍の情に事欠かず

まずはメモオフ歴代の主人公達の中で、唯一同情を抱ける男であったことを申し上げておこう。
それは言わずもがな、彼自身を取り巻く環境が虚偽に満ちていた。それなのにも関わらず、それなりにまっすぐ生きてこられたのは一蹴自身の心の強さか、果て扨ただの鈍感だろうとは思いたくはない。おそらく、陵いのりがメインヒロインでなければ、鷺沢一蹴の存在は伊波健以下とも言える。どの様に取りつくろうにしても、メインヒロインに現実問題、結果としてだまされていたことに変わりはなく、彼が追懐する度々のメインヒロインとの想い出も虚偽としてしか映らない。そう、一蹴が懐き続けた思いが全て裏切られていたと言うこと自体、彼に激しく同情する一因に違いがない。
まあ何とも嫌な性格なんだろうね、自分。・・・まあ、そんなことを言っても見よう、俺が言ったか悪名高き2ndの伊波健なぞと比べれば、不幸を背負った一蹴は格段に肩を組みたくなる。これも誰が言ったか人の不幸は蜜の味・・・イヤな性格だ(笑)

責任を感ずるにはあまりにも幼い前非

野乃原葉夜編の時に特に感じたことなのだが、彼女の父を巡る経緯についてあまりにも苛烈な懊悩ではないだろうかと思った。事件を一様に幼き日の彼らに背負い込ませて責め立てるのは見ていてあまり良いものではないし、状況打開に連結するものとは到底思えない。それはいかなる事件でもそうだとは思うが、受けた傷を癒せないと端から諦めていては何につけても人生楽しくないだろう。メモそれのトゥルーストーリーが果たして主人公達の今後に良かったのかどうかは諸兄の評価が分かれるのだろうが、少なくとも鷹嶺は今後二人はさも昼ドラなみの波瀾万丈に身を投ずることになるのではと見ているのだ。羽が空から舞い降りてくるのだぞ! あり得ないだろ、幻覚見てるよ二人。おいおい、フランダースの犬かお前ら!
メモオフ初代のルネサンスと見られたが、何々そんな優しいものではないな。ダークハッピーという造語が適当かどうかはともかくとして、またある意味、メインヒロインの怯懦さが後押しをして鷺沢一蹴の弱点を覆い隠してくれたのだろう。

個性の強いヒロイン達よりも、君に似合うは力丸紗代里だ

と、私は素直にそう思うのだが諸兄はいかが思われただろうか。鷺沢一蹴の目から見てなるほど、メモそれのオナゴ共はかくや個性が強い。一見、萌えキャラの王道を突く設定がずらりとありそうだが、蓋を開ければ中身が濃い。妹はリスカするわ(してねーよ)、高飛車薙刀は明治時代から転生してくるわ(だからしてねーよ)、ツインテールは心神喪失だわ、挙げ句の果てにはメインヒロインはずっとだまし続けていたわと、来るわ来るわここまでするかとばかり。いやはや鷹嶺だったらこんな奴ら目にも暮れず、「女の中の女になるです!」などと健気なことを高言しつづけている後輩の女の子を選ぶね。他の奴らじゃ精神保たないわきっと。
まあ、そんなんでも紆余曲折を重ねてそれぞれのヒロインとくっつけるメモオフの主人公とは素晴らしいね。まあ、結局のところシリーズ全体見れば、伊波健以下の男はもう出ては来ないのかなあと考えてみたりはする。どんなものなのかね。
さあて。安心したところで、のんちゃんの蘊蓄でも訊きに行きましょうかね。それでは皆さん、ごきげんよう。