INN nostalgia GAME COLUMN

メモリーズオフ~それから~


©KID
CV/榎本 温子
Age:20 Birthday:7/13 Blood:AB Height:168cm Weight:50kg
INN nostalgia INSPIRATION SONG
君。
FIELD OF VIEW(1999) 作詞/浅岡 雄也 作曲/小田 孝

――――背負い続けた贖罪の業、絆と比価された友情と愛情


弛まぬ“努力”の影に潜む過去への贖罪、繕われた笑顔の真実

さあて、「りかりん」こと花祭果凛さんがタカミネ的に好みのキャラクタであったことは置いておくとして、その存在とは得てして前作の党首・黒須カナタを凌駕していると言っても過言ではない。ええ、モチロンビジュアル的にも性格的にもですが、何よりも表裏一体のりかりんという一個のキャラクタが放つオーラとでも言いましょうか。よりにもよって、加賀正午のニュアンスが飛び交った時は藤原雅をして「愚か者」と思ったものだが、まあ優柔不断幕府第三代将軍・加賀正午の意味もわからぬもてもてぶりを思えば、りかりんに振り向かなかった正午はある意味宝の原石を捨てていて“ぷれいやあ”からしてみれば小気味良い(悪い性格だねえ)。
閑話休題。さて、そこでひとつの疑問が浮かぶというのは、花祭氏の父が社長、母親が市議会議員とされるのだが、正直どこぞの社長かわからぬが、忠烈漢たる執事を雇い、高級外車にどこぞの馬の骨とも知れぬ鷺沢一蹴なる虫を愛娘の臨席に侍らすなどと、普通の感覚、さも冬ソナにかかればヒロインの父に殴り飛ばされる程のあり得ない話、寛大というのか、放任主義とでも言うのか。しかし、社長・市議会議員の両親など、いかにも自民党政権の政官業癒着の構図であり、個人的にりかりんとの会話で選挙に出れば勝てるなどと言った一蹴の台詞には正直腹が立った。選挙を茶化すとは何事か。と言うよりも、今の政界、なりふり構わず金を撒き、票を獲ようなどと言う古いやり方では通用しない。二大政党化の流れは着実だからだ。そこんところ、鷺沢一蹴、勘違いするなよ。
と、まあそんなタカミネのゴタクをわかっているかいないかはともかく、りかりんは実に謙虚。お嬢様気取りじゃないというある意味してやられるが惹きつける登場の仕方だったのだ。メインヒロイン・陵いのりの存在をかき消すほどに、タカミネ的にはりかりんをいち早く制覇したいなあと考えたものである。
完璧を装う裏で、実は果て無き努力、過度の自虐。しかしタカミネとしては、後にりかりんが述懐する過去の出来事を知る上で、そこまで自責の念にとらわれてしまうものなのかと疑問を持つ。自虐的努力も結局は破滅の道か繕われた正義の下に自己満足でしかない。心身共に余裕がなければ金も錆びて輝きを失う。難しいものであるな。

惹かれ続けた一蹴への想い、答え無き男女間の親友の意義

りかりんがそこまでして一蹴を気遣うか。野乃原葉夜こと「のんちゃん」との因縁はとかくお誂え向きなのだが、今までの曖昧なヒロインどもとは違い、りかりんが鷺沢一蹴に惹きつけられる経緯には得心される。いわば白河姉が吐露した伊波健という不届者への淡き想いとは別な、心をうつに純白になろうとしたりかりんが触れたワイドハイター(悪いな)のような男。それが鷺沢一蹴という輩であろうか。
彼女が幼少の頃から懐き続けてきた一蹴への思いというのは決して脆いものではなかったはずで、名言としてしばしば登場した「昨日の友は今日の友、親しき仲に礼儀なし」というのはあながちりかりんの中では既に昇華され、更に高尚な意味合いをもって一蹴を見つめていたのだろうと思うのだ。そうでなければ、なにもわざわざたかがバイト先のアルバイト店員如きに素の表情を見せるまでもあるまい。おそらくはりかりんと一蹴の出会いの直後から、彼女の中では既に「昨日の友~、親しき~」は確立され、西豪州のさる岩のようにほんの少しずつながらも成長していったのだろう。
ただ、のんちゃんとの確執に至らぬ潔さでは、りかりんよりも、のんちゃんの方に同情したのは事実。どの様な決意をもってのんちゃんが主人公への思いを断ち切ったかはわからないが、少なくてものんちゃんが「告白」した時点で、稲穂信が言っていた、「男女間での親友」の真実は脆くも崩壊してしまったと断言できよう。いつの時代でもそうだが、タカミネの持論としては、人間性欲を打ち捨てればそれもあるだろうと。

夢を感じる芸能人との恋愛、その前途は洋々ではなく…

これはある意味ジンクスみたいなものらしい。芸能人との恋愛は長続きせず。このコラムを書く少し前、あの保坂尚輝と高岡早紀が離婚したとか。鴛鴦の代名詞的としてCFに連日出演していたラブラブカップルが破局。得てしてそう言うものである。憶測を建てるのも烏滸がましいが、かの広末某も同じ運命を辿ることは間違いがない。
芸能界というのは魔物が住む世界なのかなあと一般愚民であるタカミネは天上界をそう見ているのだが、果てさて、この後りかりんはどういう道を歩むのだろうか。芸能活動を続けるか、山口百恵みたくきっぱりとメディアから姿を消して独自の人生を歩むか、選択は多い。しかし敢えて言わせてもらおうならば、鷺沢一蹴との恋愛を貫くならば、答えはひとつ。それが今までの努力を無に帰すかと問われれば答えはそれぞれにあるだろうが、自虐的な努力を積み重ねてまで培ってきた生き様を無にするなどというネガティブな思考から救ってくれた一蹴とならば、彼女としても諦めはつきやすいと思うがいかがなものだろうかね。
それにつけても、モデルを恋人にか。聞こえは良いのだが、実際のところどうなんでしょうかね。意外と居心地の悪いものかも知れませんな。ひねくれ者のタカミネが、一蹴×果凛に贈る、餞の言葉。

「死にゃ人間、皆ただの骨よ」