INN nostalgia GAME COLUMN
メモリーズオフ~それから~
©KID |
CV/志倉 千代丸
|
忘却の罪を憎しみ続けた正義の使徒、追憶の少女に寄せた想い
恋愛の栄華に下された正義の雷霆、一蹴を打ちいのりに辛苦を与える
千羽谷のアウトローの秘密がまたひとつ明かされた。とは副題の一つに過ぎず、メモそれのストーリーの鍵を握る重要なキャラクタである。いわば前作もさることながら、主人公に真っ向から対立できる存在。一部の女性支持者はともかくとして、男性層でも飛田扉に憧れることは決しておかしな事ではない。浮かれきった鷺沢一蹴と陵いのり。二人の追想の惚気にやきもきした我らに冷たい水を提供してくれる飛田の登場。脳天を直撃するそのハンマーに、どれ程気持ちのいい思いをしただろうかと考える。
結局は登場することはなかったのだが、今回の枢軸となる事件に関わった一人の少女。飛田の心に暗い影を落としているその少女の存在を思えば、鷺沢一蹴や陵いのりに寄せる憎悪の念は痛いほどよくわかるものだし、むしろそれが当然の仕儀なのだ。
それにしても、今回の彼は前作ほどにポジティブな部分のない、完全憎まれ役に徹したな。ご苦労さんと言いたい。結局、一蹴の気迫に圧されて最後はいのりとの関係を許してしまうところが詰めの甘さというところがある訳だが、こう言うところが人間くささというか、飛田扉というキャラクタを冷酷なイメージだけで終わらせない唯一の手法だったのだろうな。まあ、とりわけ登場回数の少ないキャラクタというのは扱いが難しい。
それにしても鷺沢一蹴が、陵いのりと飛田扉との関係を買い被っていたのには無理があるなあとは思った。