INN nostalgia GAME COLUMN
メモリーズオフ~それから~
©KID |
CV/石原 絵理子
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Age:16 Birthday:3/2 Blood:A Height:154cm Weight:40kg
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INN nostalgia INSPIRATION SONG
明日もし君が壊れても
WANDS(1998) 作詞/坂井 泉水 作曲/大野 愛果
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――――想い続けた禁忌の恋情、掠奪の涯に辿る嶮難なる絆
秘めつづけていたインセストディザイア、懊悩の兄の想い量れど…
さて、このタカミネ コウ、今まで結構の数の恋愛系ゲームをこなしてきたつもりだと自負しているが、果てさて私が今作・メモリーズオフ~それから~を試して一番初めにこなした彼女、鷺沢縁編をして、これほど主人公だけならまだしも、メインヒロイン・陵いのりに対して憎悪感を懐いたことはない。
そう、かいつまんで申し上げれば、この可憐な義妹・縁姫のあまりにも哀しすぎる愚兄・鷺沢一蹴への一途な想いに感化され、完全無欠の一蹴・陵いのり拒絶反応を示したと言っても良いのである。
ある意味失敗したのは、縁姫を一番初めにこなしてしまったのが、タカミネにとって主人公・メインヒロインへの第一印象を悪くしてしまったのだからあな後悔先に立たずと言ったところ。
ええ、決して縁姫に傾倒している訳ではありませぬ。確かに、タカミネはついこの間まで、いえ今もかも知れないですがシスタープリンセスにはまってましたけどね。妹属性の視点から見ずとも、縁姫のあまりにも強い兄への依存には彼女の父親が心療内科へ連行したという事実に納得できるのです。いえいえ、「ブラコン」とさながら小沢一郎氏の如く歯に衣着せぬ発言で驚かされた力丸妹の指摘も満更でもあるまい。
しかし縁姫の盲目的な愛情表現は得てして非現実的なものに余りある。鷺沢一蹴を実兄だとして育っていたとするならば少なくても15,6の妙齢に達して兄にベッタリとくっつきはしないだろう。ブラコンというのにも程がある。まあ、さすがは原作の限界か。決して病弱で従順という極めて王道的な妹“萌え”党派狙いの設定ではないにしろ、一歩間違えれば、咲香里氏のSweet
Pain Little Loversに擬した極めて背徳の色が濃い物語に発展していただろうが。まあ、それが心の中に一縷のもやもやを残したと言っても過言ではないのであるが。
蹂躙された硝子の恋、残忍非道なメインヒロインと暗愚な義兄
さて、突然メインヒロインである陵いのりを非難して反感を買いそうだが、陵個人の蘊蓄は当該の箇所で垂れるとして、純粋に鷺沢縁編でのいのりは実に非情である。それに重ねて暗愚なるのは当のメモオフ代表・鷺沢一蹴なる男。元々は恋人関係と高言憚らぬ関係らしいのだが、正直言って某場面以降の二人のやり取りは目障りという言葉の他に何があっただろうか。いやはや、真に以て此程本来の主役共が憎らしいと感じたことはない。言うなれば小泉純一郎首相に較べれば、森喜朗や橋本龍太郎の方がはるかにマシ、みたいなもので、伊波健や三上智也など全然可愛いものである。
諸兄はいかが思うか。よもやこの一蹴なる愚か者をむざむざと縁姫に渡して良いものだろうか。たかがプラスティックのボタンひとつで、十年来の金の絆を天秤に掛けてもらいたくはないものである。陵いのりという曖昧模糊なる人非人の長い髪を指で梳く欲望が、果たして縁姫の昼夜にわたる愚兄へ想い伝える孤軍奮闘を勝るとでも言うのかとばかり。好きな人を思い乍ら眠れず星恋の丘に思いを馳せる今の世に稀な一途な少女に、「眠れないのは枕が変わったから?」などとデリカシーのない言葉を発するかのように、のこのこと古巣に帰すのは大愚の他にならない。「ヨリを戻す」などと言葉は使いようだが、男の女々しさを遍く知らしめるダークなネーミングであろう。
まあ、いのりが一蹴なる愚者を振った理由は後に語られることになるのはともかく、縁姫にしてみれば純粋に勝手な行動。さながらサダムや金将軍に引けを取らない独裁者に他ならず、言うに事欠いて「あなたには渡さない」などと、おいおいアンタ何様のつもり?と電話相談でみのもんた氏に辛口叩かれそうなほど縁姫の決意と想いは悲愴であり、陵いのりの表面余裕をかました態度が実に気に入らないのである。危機が迫っているのに平然と一蹴と愛しあうことを望む言動、心の裡はいずくにあるかはしらねども、カマトトもここまで来れば大したものであろうな。
結局は掠奪愛、禁忌の領域の果てに待つ結末
血の繋がっていない兄妹ネタは倫理学的に避けられない事ではあるが、大概この手の話はハッピーエンドに以て行くことは至難の業とされる。元々、血縁がどうであれ、兄妹同士の恋愛は現実にあり得ないと思うし、仮にぎりぎり範囲を狭めたとしても、物心ついた時から一緒にいれもすれば悪いところの方が多く目に付き幻滅が先行するはず。人気アイドルの兄弟だって実際そうじゃないだろうかと思うのは憶測だろうか。
陵いのりをコケ下ろしたところでこの愚兄は最後の選択で縁を選ぶ。仮にいのりを選ぶ、いずれにしても大団円というわけにはいかない。これは一蹴が言っているように互いの想いが強くなりすぎているからこそ相殺に近い状態となっているが、下手をすりゃあどちらかが自殺を図るなどという極めてダークな路線を歩むことになりかねない。いわば18歳未満禁止の成年指定作品とかではありそうだが、そこはメモオフ。これ以上人や生き物を殺すなと言うところか。
いずれにしても縁にとっては掠奪愛。二次創作の余地無くしてもいのりに一生、後ろ暗さを残したままで生きてゆかずばなるまい。
「傷つかない恋愛なんてあり得ない」などと格好つけたことを良く言うものだが、タカミネはたかが17,8の歳でこんな重荷を背負って残りの人生を過ごす気にはなれませんな。ええ、もちろん縁姫個人に対しては心からエールを送りたいと思いますがね。
…と、まあ、あまり人のことを言えん様な小説を書いているわけではありますが(笑)