同窓会~Yesterday Once More~
(C)1996 ides' FAIRY TALE \8800 |
プロデューサー かなすぎ はじめ/ディレクター 中原 ゆうき / シナリオ 小嶌 淳子 / 原画 水谷 とおる |
■個人的評価 S-A-B-C-D-E 良←→悪 シナリオ:S CG:A 音楽:A ボイス:- ゲームバランス:A マニュアル:B 性的描写の必要性:D 感動度:A 共感度:S 総合:A |
|
今も…人気が高いかもしれない高恋愛の黎明 | |
この作品を知ったのはつい最近であった。 知り合いの人から借りたのがきっかけで、96年当時は元より、出逢うまでは全くその存在を知らなかった。 『同級生2』のストーリーにインスパイアを受けて自身の中で「高恋愛ゲーム」という分野を位置づけるようになった中、この作品は高恋愛の黎明を見るような内容であったように思われる。 各登場人物個々のストーリーはさすがに、他者との絡みはさほど強くはなかったが、それでもそれぞれに強く印象に残る物語が展開されており、結ばれる場面も無理も感じず、説得力にあふれていた。 作品発表から数年が経過してはいるが、根強いファン層はいるであろうと思われる。 当然のこと、成人指定というのにはもったいない。性的描写の必要性Dはそれを意味する。 ※他機種にはすでに移植済みという話らしいが |
|
これぞまさしく恋愛篇集大成か | |
恋愛ゲームによる創作活動は、純恋愛・高恋愛ゲームに限り遂行してきている私ですが、この同窓会~Yesterday
Once More~からインスピレーションを受けて創作した第40本目の恋愛篇創作詞「Yesterday
Once More」が、ひとつの総まとめとなることが出来たような気がします。 ちなみに前のページで作詞久保達也(主人公の初期設定名)・滝口洋介、補作詞高原夜空、作曲滝口洋介とありましたが、当然のこと作詞は私自身です(笑) 主人公を初めとする5名の男性キャラクタが醸し出す会話やストーリーを簡潔にまとめて書いたものですので、自身の中では彼らが作詞し、私が補作詞したと思っております。作曲と言っても実際にこの詞に曲はついておりません。滝口洋介君ならば素晴らしいバラードに作ってくれそうな気がしましたんで(笑) |
|
どこか優しき男たち | |
この物語は、主人公久保達也を初めとして、滝口洋介、白石竜助、遠藤進、鞍掛不二男という男たちのそれぞれの思いが交錯し、彩りを与えていてくれる。 女性たちのストーリーもさることながら、この物語で影響された部分は意外と男性たちのストーリーにあったと言っても過言ではないだろう。 秀才で東大現役合格という遠藤進というキャラクタ。本来ならばすごく嫌味な人物だろうと思われるが、ヒロイン小早川瑞穂に馳せる思いから滝口洋介と殴り合いの喧嘩を演じたり、酒場で泥酔したりと、実に人間くささがちょうど良くブレンドされていて良かったと思う。 鞍掛不二男は財閥の御曹司という設定なのだが、狩野真琴に対する一途な想いは物語を進行していて思わず応援してしまいたくなりそうな感情さえ芽生える。 二人とも洋介や竜助のような主人公の親友・補佐役と言った感じの人物像とは違う、恋愛ゲームに必須の「イヤ」な人物像である。 しかし、イヤな人物像を醸し出しながらもそれが完全にドラマ的なものではなく、性格面で「こういう奴、いるいる」と、実際にいそうな現実感が心地よかった。 男性キャラが全て女性たちの華舞台を彩る存在である恋愛ゲームは希少価値が高い。 |
|
99' 7/3 鷹嶺 昊 |
若林 鮎
~近くて遠き幼なじみという存在…その型枠は越えられそうで越え難きものなり
若林鮎 身近なることへの疎外感
私個人としてのいちおしはやはりとでもいうのか、ずいぶんありきたりだとは思うがヒロインである若林鮎であります。
とかくこういったゲームではビジュアル的には問題はないので、私は内面やストーリーにこだわりますね。これはしつこいくらい言ってますか。彼女は魚屋の娘という設定上、とにもかくにも活発な言動を取り、趣味もフィッシング・マリンスポーツと、「魚」に関連した場所でのものが多いらしい。
久保達也はずっと彼女のことを女性としては見ていないようです。
まあ、とかく“幼なじみ”とはそう言ったものかも知れませんな。物覚えした頃からずっと一緒にいればまるで兄弟の如き感情が生まれてしまうんで、そうそう簡単に恋愛へは発展しづらいものかも知れません。むしろ、ずっと昔から好きだったというのはこれもまたなかなか大したものです。
達也もいい大人のようで、彼女の行動ひとつひとつに自分に対する気持ちが「幼なじみ」ではなく、異性への「好意」だと察知していったようですが、中学時代からの憧憬の人・小早川瑞穂から前触れもなく告白されたときはさすがに戸惑ったでしょうな。ま、そのおかげで鮎に対する自分の本当の気持ちを知ったことが出来たのは良かったようで・・・
感情の爆発というものは良い意味でも悪い意味でも怖いものですな。
達也の告白後からは、二人たがを外したようにべったりとなってしまったわけでありますが、後に彼女は回顧録で、「あのとき、瑞穂に奔っていたら絶対に許せなかった」とまでのたまってくれています。
顔で笑って心は夜叉と化す…さながら火曜サスペンス劇場なみのドラマが数年後に惹起する遠因ともなりかねない一大場面であった訳なのか。
とにもかくにも今や二人は大学を卒業。この大不況下で就職はおぼつかない…と思われたが、鮎の家が魚屋で正解。二人は晴れて籍を入れて魚屋の店主。比翼連理のことわりよろしく商店街は不況にあえぐ中で、この店だけは大繁盛だというからいいですね。大学卒の魚屋の夫婦の未来に幸多かれんと。
秋山 みどり
~忘られぬ元彼への慕情…迷いし心に痛く優しく突き刺さる『親友』の激励
秋山みどり 古恋を断ちて未来を掴む
ミーハーでゴシップ好き。典型的な小悪魔調的女性キャラクタでありましたね(マニュアルより引用)。体格的にもいわゆる“ぽっちゃり型”と言うわけでありまして、まあ、よく見かけるタイプと言えばそうかも知れませんな、多分。
他のキャラクタはあまりに個性的なのに対し、彼女は周囲に一人くらいはいそう・・・?な気がしましたね、今までの経験上、こういったタイプは。
生まれも育ちもごく普通の中流階級という平凡な娘でありまして、ごく自然に滝口洋介とつき合っていたそうでありますが、どうやら別れた原因はお互いに意見が違っているみたいなんですね。洋介の方はみどりのほうがふったと言っているようですし、彼女の方は洋介から別れたと。
ま、どちらにせよここまで未練がましい言動を重ねてくると、なるほど彼女に新しい恋人は出来ないはずですな。
田村和広(みどりストーリーの主人公の名前)は最初、同情してたんですけどね、恋愛感情というのは本当に形のないものでありまして、洋介にお前誰が好きなんだ?と言われると、和広はおもむろに彼女の名前を挙げたわけであります。
洋介いわく「あんなババくせえ女?」などと言われ一笑に伏されてはしまいましたが、洋介の表現は満更でもないでしょうね。
いつまでも元彼のことを引きずっているのですから、そう言われてもある意味仕方がないでしょう。和広の決断には頭が下がります、本当に。
と言うわけで和広は悩める彼女に気遣うことなくストレートに「洋介はもうダメだ」と言ってのけます。
いらぬ気遣いはかえって泥沼と化しますね。芸能人の離婚騒動じゃあないのですけど、こうした病気は気休めよりもハッキリと強い薬で一気に病根を断ち切る方がよろしいかも。恋っていうのは癌や水虫のようなものですかね。治ったかと思いやまた再発する(たとえが悪かったかね)ものですから・・・。
ま、とにもかくにもそんな和広の投与した強力剤が功を奏し(?)て、副作用的に和広に急速に惹かれてゆく彼女でありまして・・・。
しょっちゅう教会を気にしているのを見ますと彼女は結婚願望が強いんでしょう。和広と泊まったある温泉旅館で夫婦と間違われたとき、舞い上がって喜んでいたみたいです。窮屈じゃないのかな?和広は。
現在は早いもので二児の母親。和広も普通のサラリーマンで人並みの生活を送って、愛妻や愛児たちを養ってくれているようです。洋介とのことからも見えるように、彼女は好きな人しか見えないような質らしいんで、浮気はないでしょう。問題は和広です。こんな素敵な女性に隠れて浮気はするなと言っておきましょう。大丈夫か。
狩野 真琴
~月見草が向日葵に転じた理由…一人の異性のために、輝く舞台へと飛び立つ
狩野真琴 愛のためならば夢、捨つる
久しぶりに会った同級生に対して「ずいぶん変わったなあ、あいつ」と思ったことのある人は多いかと思いますね。彼女はそんな風に思わせた人物の一例ではないでしょうか。
図書室のあまり目立たない少女(とは言っても金髪に染めているのは除きますが)が、時代の先駆を行くモデルになってしまっているのですから、これは極端な例ですね。
「MAKO」という芸名で各雑誌に登場する売れっ子だったらしいのですが、どうも境遇というのは若者にとって感化されやすいとでも言うのでしょうか。モデルに転じた瞬間に性格まで女王様気取りになってしまったようです。まあ、バブル時代だからこそある程度許されもしたのでしょうけど、今のご時世でそうだとしたら救いようがなかったですね。運がいいことに、鞍掛不二男というパトロンの存在も、彼女にとっては或る意味、救いだったのかも知れませんね。
彼女のストーリーを流してみると実に懐かしいフレーズが飛び出してきましたねえ。「みつぐ君」という・・・。
不二男に対する彼女の行動は、当時の時代の流れだったのである程度目をつむることが出来ますがね。それにつけても吉岡征輝(まさき・真琴ストーリーの主人公の名前)に馳せる思いというのは強いものでしたよ。
征輝が図書委員室の窓から見える栗の木の下でラケット素振りの練習をしていたことや、6月11日から一週間休んだことまで・・・いやいや。好意を寄せる一途さは、女性の方が一段と強いのでしょうね。多分、男がこんな事言ったら薄気味悪がることでしょう。女の子は男装してもおかしくないように、これが「健気」と言われる所以。得ですね。女性というものは・・・なんてばかなことを思っていたりします。
征輝に見つめていてもらいたくてモデルの仕事に就いたとのたまっておられるようですが、実際の行動を傍聴していると矛盾してますよ。ま、要は心ですけどね。征輝に対する想いに虚偽はないようですのでとやかくは言いますまいて。
ま、そんなわけで彼女のストーリーには他のキャラほど共感できる部分は少なかったというわけなんですなぁ。創作詞は失恋した不二男のセリフを古今和歌集よろしくかき集めたものを補作詞していますしね。基本的に高飛車は苦手なんですわ。ちなみに私は将棋もやります、関係ないけど。
現在はモデルの仕事を引退。タレント・女優を目指した時期もあったらしいんですが、征輝から忠告されて断念してます。しかし入籍後もその小悪魔的性格は治らないようでして、「目撃ド○ュン!」の「ゴーマン妻よ、ここだけ直して!」に応募した征輝によって島○俊郎からド突きを受けたのが、事実上最後のテレビ出演となりました。征輝を尻に敷いて、平凡な夫婦生活を送っているようですね。アーメン
緒方 静香
~不良を装い自尊を守る繊細なる烈女…裡に秘めた孤独と哀しみを理解してくれたのは
緒方静香 叱咤激励の親友が、恋人に変わるとき
『一見、素行不良なタイプにあって内面は非常に一途で純粋である』
恋愛ゲームには必ずと言っていいほどこうした不良タイプが登場していますねえ。しかも決まって髪の色は赤いのが多いんです。ともするならば、こうしたゲームのパッケージの表紙を飾るヒロインと名の付く女性たちの髪も赤が多いですねえ。やはり彼女らも『不良』なのでしょうか。
彼女はこう見えても元社長令嬢だったそうな。テニス部に所属して岡部圭一(静香ストーリーでの主人公の名前)と知り合ったのも束の間で、突然彼女はテニス部を退部してしまったんですね。所以は・・・まあ、当時の世情を考えればなるほど、納得できますが。
それにしても世間というものの風当たりは冷たいものですね。人を見かけで判断してはいけません。好き勝手な噂が増長し交錯して行く中、じっと耐えに耐えて過ごしてきた彼女の精神力には感服いたします。
「能ある鷹は爪を隠す」と言えばかなり語弊があろうが、まあ、そんな感じです。
まあ、喧嘩するほど仲がいいとはよく言いますがね。意外なことに彼女は遠藤進に好意を寄せていたようです。しかしね、遠藤は例によって小早川瑞穂に片想いしていたために片想いの一方通行。圭一はとかく最初、突然部を辞めた彼女のことがやや気になっていた様でしたが、同窓会の初日、洋介に静香のことどう思っていると聞かれて、『友人』としては彼女の事は好きだと答えましたね。
テニスで遠藤と口論して飛び出した彼女を圭一は追いかけます。強がる彼女の心情を理解した圭一はさりげなく彼女を慰めましたけど、やはりね。彼女の心は圭一に急速に傾倒してゆきます。う~ん、正統派なり。
彼女のようなタイプにはありがちの、恋愛下戸。言葉遣いが悪いからと表現は行動で表す。
まあ、圭一ならばその方が彼女らしくていいと思ったんでしょうがね。そんなところなんかかわいいものではありませんか。英雄、色を好むとはよく言ったものでして、かのチンギス・ハーンも、クランという気の強い女性を正妻以上に愛していたというしね。気が強くてか弱い女性というのは、古今東西男心をくすぐるものなんでしょうな。
現在はと言うと、この二人は未だ同棲中です。不況の中で生活は苦しいんですが、お互いに結婚したい想いは共通。だけどねえ・・・口べたは性格。いつどちらが先に口に出すのでしょうか。別れてはいけません。
小早川 瑞穂
~相思相愛も言葉に出来ずまま青春を過ぐ。二人の捲土重来の好機、到来か
小早川瑞穂 一途な想い、時を越えて叶う
若林鮎と比べることは出来ませんがね。順番で行くと彼女が二番目のストーリーであったという訳なんですが・・・。
すべての恋愛物語に共通する点というのは、こういった女性キャラクタ(ビジュアル面・性格面)は、世の男性が描く理想像の平均的姿なのであるかなと、我ながらそう思っているわけでして。
どうやら良家のお嬢様らしいです。シャンプーのCM出演のスカウトを受けたと言われるほどの美髪の持ち主。友人と小早川隆景(戦国大名毛利元就の三男ね)の子孫かなどと、どうしようもなくくだらない話を三十秒ほどしていました。よほど暇だったようです。
おっとりとして穏やかな性格という外見そのままの絵に描いたような女性像であり、その上病弱であるという、現実社会では全くありそうもないからいいのでしょう、きっと。
奈良橋真哉(瑞穂ストーリーでの主人公の名前)とは中学テニス部で出逢っていますが、病弱の身でテニス部に入部したという経緯はどうも・・・或いは以前から真哉を慕っていて、彼を追ってテニス部に入ったと言った方が自然でしょうな。
お互いに惹かれ合っているくせに口に出来ないまま中学生活を卒業(その前に回想のビジュアルがどうしても中学生には見えないのは私だけでありましょうや)。
この二人の気持ちがずっと冷めないままでいたという話しもすごいです。
ストーリーによっては彼が一方的に彼女を振っていますが、彼女自身は彼をずっと慕いつづけていたようです。
同窓会で、炎天下の強行テニスに参加し、やはり倒れられ、真哉はすぐさま彼女を抱えてペンションに帰還。目覚めたとき愛する人が目の前に。二人は急接近するんですね。水戸黄門漫遊記ではないですが、やはりわかっていても面白いものです、正統派というものは。
愛する人に対しては彼女もずいぶんと積極的になりましたね。ここも人間くささというものがあって、完璧理想の少女漫画調で終始させなかったのが小嶌氏の偉いところと、私ごときが何を偉そうなとは思わないでもらいたい。
とかく、彼女と真哉はめでたく結ばれてハッピーエンドとなり、教会でウェディングドレスの記念写真サービスを受け、そのあまりの美しさにギャラリーのため息さえ失わさせました(まだ十代なのに大したものです)。
そして現在、お二人は正式に婚約を交わし、近々結婚式を挙げるとのこと。小早川家の婿にと、彼女の父の願いでありましたが、彼女は自ら真哉の元へ嫁ぐと言い、中堅企業の駆け出しサラリーマンである真哉と同居中。子供が欲しいのはわかりますが、くれぐれも産後の肥立ちが悪くて他界・・・などとはならないよう、身体を丈夫にしましょう。
佐伯 夏奈子
一途に追う先輩の背中…憧憬と慕情の違いに気づいた時、心は別の在処へと
白石竜助の高校の後輩であり、三年生という事でありますが、どうもそのようには見えなさすぎるほど子供っちでありますなぁ。
このタイプの物語にはこうした感じのキャラクタが必ず一人は登場いたしますが、当時も今も、「ですぅ~」「ますぅ~」やら、自称を名前で呼ぶような高校生は滅多にいないと思いますが、どのようなものでしょうね。
竜助が立案・監事を務めた同窓会に彼女はひっついてきたらしいのですが、彼女は場の雰囲気になかなかなじめなくて(当たり前です)、当の竜助は想い出話に花を咲かせていて気にかけることもなく、宮原将文(まさふみ・夏奈子ストーリーの主人公の名前)だけが、彼女に気を遣ってくれてましたね(いいヤツです、イヤになるほど)。健気にも竜助のためにクッキーまで作ってあげたんですが、竜助はこともなげにそれを無駄にします。竜助の根本的な性格上のために将文は怒りはせず、彼女に同情してゆくうちに愛情に変わっていく。う~ん、これもまた良くある話。
将文の心遣いに彼女も惹かれてゆき、自身の中で「愛する」ということを悟ったのでありました。こう見えても、芯はしっかりしているようでして、現在二人は家族ぐるみのおつき合いをされています。ただ、結婚を考えるには夏奈子の思考はまだまだ少女のままらしくて、将文はなかなか切り出せずにいるとか。がんばって下さい。
青木 桃子
都会を離れ一人山間のペンションに…失いかけた青春を目覚めさせた青年を
星降里高原ペンション「ブルー・フォレスト」の管理人さんであり、結婚歴有り(ばついち)で二十四歳と言うことでありますが、年相応には見えません。もっと年上に見えたのはおそらく私だけではありませんでしょう。いえ、決して老けているというわけではなく、落ち着いた雰囲気や言動がしっかりとしているからです(さすがです)。若さを感じるのは髪の毛が紫ということでしょう。佐伯夏奈子の知り合いであり、毎年夏のシーズンに来訪する観光・避暑客との出会いと別れを見てきたそう。
二階堂舜(桃子ストーリーの主人公の名前)との運命の出逢いはこの夏の同窓会の舞台となった同ペンション。何故か、舜に一目惚れをしてしまったようです(確かに、他の男性は個性が強すぎるから、普通っぽく見える舜に惹かれる気持ちはわからないでもないですがね)舜自身も出逢ったその日から、どこか悲しそうな雰囲気を漂わせる彼女のことが気がかりになって和気藹々たる同窓会よりも、無意識のうちに心、ここにあらずになっていきます。舜を慕っていた鮎や瑞穂、真琴らは面白くなかったでしょうな、きっと。結局、舜はテニスやバーベキューなどのメイン行事には参加もせず、何のために同窓会に参加したのかと皮肉られそうですが、彼女の経緯を聞いているうちに、自分もまた彼女を愛してしまっていることに気づいて行くのですが、さながら昼メロなみのお話でございます。しかし、一時的な同情から芽生えた愛というものはそうは長くつづかないものなのでしょう。その後二人は結局、別離することになってしまいました。お互いに相手に対して冷めたというわけではなく、その方が二人のためであるという、合意の上での別れだそうです。「一夏の想い出」は本当になってしまいました。二人の人生の途、洋々たれと願いましょう。
村田 深雪
恋いこがれし都会に馳せる純朴な心…夢はきっと叶うと信じつづけて今
乳牛の名産観光避暑地・星降里町の土産店「かざぐるま」の看板娘ということですが、東京に憧れるあまり地元の学校を退学したというのですから随分と無謀なことをされていました。その上、東京の観光客の男性たちに片っ端から声を掛けているという理由も、自分を東京に連れていってくれる人を捜していたからだというわけですが、若い女性がそんなことを言ってはいけません。ま、本人も都度かなりやばそうなところまで行きかけていたようですが、自制が利いて回避してきたのはそれなりの信念があったからなのでしょう。
夢は抱きつづけることに意味があるとは言いますが、彼女の行動に対してはいささか語弊があるかも知れません。とは言っても、石井諒(深雪ストーリーの主人公の名前)との出逢いは良かったかも知れませんね。彼女いわく白馬の王子様というほど甲斐性はないのですが、誠実な人柄の都会人・諒に本気で惹かれてゆく気持ちはわかるような気がします。
田舎にあってもその考え方にはある程度共感できる部分もありますね。確かに、都会はすべてが揃っていて夢を抱く町かも知れませんが。ただ、諒が言うように東京は住む町ではないと言うのが正直感銘しましたね。感情を捨ててまで、ただ時に流されたくはありませんので、私はね。まあ、彼女にしてみれば、一度経験してみるのも良いことでしょう。田舎の素晴らしさがそこでわかるはずです。
で、結局諒に付き従って唐突に東京に出てきたわけで、諒の自宅に居候(出来なかったらどうするつもりだったのか)。どうやら彼女はそれなりに諒の奥さんとして都会人になったようです。たまには両親のためにも田舎へ帰ってあげて下さいね。
滝口 洋介
主人公・久保達也の親友であり、良きライバルであるそう。調子が良くて、何でもいいから楽しいことが好きという、ずいぶんとまたうらやましい性格で、当然のこと女性の人気は高いだろう。
しかし、数ある女性遍歴の中で秋山みどりにだけ振られた事が気に入らず、みどりのことは散々に貶しているという、どこか女々しさも感じられます。それでも再会した小早川瑞穂に対する想いには嘘偽りはなかったようで、彼女がずっと慕っている、達也のことを意識している、当然であります。
まあ、それでもこの二人はお互いよく理解し合っているので素晴らしさを感じますね。
ただやはりどう考えても、彼と瑞穂のカップルはいまいちでしょう。それは何でもいいから楽しいこと好きの彼が、果たして病弱の瑞穂とうまくいくでしょうかね。彼は本気らしいんですけど、どうも一時的な熱入れのように感じてならないんですが。
それはそうと、全詞への作曲ご苦労さん。特にみどりに捧げた原詩はよかったねぇ。やっぱり、よりを戻した方が良かったかもね。
鞍掛 不二男
この手に必須(?)の財閥の御曹司である彼は、同窓会にお呼びが最後までかからなかったという、とても貴重なみんなの嫌われ者的存在でありました。愛車は真紅のポルシェというんですが、どうも様にならないんだな。言葉の語尾に「しゃ、しゅ、しぇ、しょ」を入れますしね。舌っ足らずなのか、口癖なのか。わがままな子供をそのまま大きくしたような人物とマニュアルにはありますが、果たして言葉遣いまでとは・・・とは思います。
中学時代、あるいはそれ以前からか、狩野真琴を一途に慕いつづける純粋さはすごいと思います。他の女性に目もくれずに真琴だけに大きく絡むとは。その点は素直に共感というか、見習わなければならないかも知れませんね。ただ一人の愛する女性のためにあたら青春の日々を費やすという、普通ならば出来ないことを通してきたのですから。真琴ストーリー以外では何と村田深雪と成立することもあるようでした。あれほど慕っていた彼女をこうもあっさりとあきらめ、別の女性と速攻カップルになるとは、何だ、不二男もやる気出せば出来るじゃねえか。と、思ったわけであります。そうそう、あなたの気持ちは真琴に捧げる詞として補作しといたからね。
遠藤 進
頭脳明晰で東大に現役合格したという、生粋のエリート。将来は政治家か、いや、意外と世の中に暗躍できる省庁官僚か。彼の将来は保証と野望に満ちあふれているでしょう。当然のこと、そんな自分を完璧だと思いこんでいるため、他者との協調性に著しく欠けており、特に洋介とは激しい犬猿の仲であります。
しかし、そんな彼でも女性に恋する感情は持ち合わせていたようです。例によって小早川瑞穂。達也・洋介・進と、三人の男性に好意を持たれる瑞穂の心境幾ばくかと思われたが、当然のこと瑞穂本人は達也に惹かれている上に、次席は洋介。彼ははっきり言って見込み薄であった。完璧な人間なんていない訳なんですよ。
で、意外と結びつきやすかったのが緒方静香であり、このカップルならばそれなりにうまく、軋轢も目立たないように行くことでしょうな。展開によっては瑞穂とのカップルが成り立つこともありましたが、その先は決して長くはなかったはずです。瑞穂は地位や名誉を望む質ではないので、方向性の違いから別れることになりました。
彼にはブランド志向の女性が合っているでしょう。と、言うわけでして貴男と静香のカップルを記念して補作しましたよ、詞を。作曲はライバルの洋介君。ハードロックだねえ。
白石 竜助
今回の同窓会主催者であり、佐伯夏奈子の追っかけ相手。本人は中学時代からテニス一筋のバリバリスポーツマンであるから、つとに女性に関しては鈍感の極みを貫いている性格。それがかえってイライラするようなことはないのは、あまりにもあっさりとしているからでもありましょう。特に精魂愛情を込めに込めて夏奈子が作ったクッキーを「飯食べたから」と、夏奈子の目の前であっさり達也にわたしてしまうところなんかは、悪気ひとつも感じず、反対にとても清々しささえ感じます。まあ、それで良いのか悪いのかは賛否両論ありましょうがね。
夏奈子ストーリー以外の全ストーリーを通じて、村田深雪との絡みもほんの少しはあるものの、夏奈子の熱意にさすがの鈍感男もほだされたようで、(バ)カップルの成立となります。その会話や言動は純粋そのもので、見ていてとても微笑ましく思います。ラブラブな二人はいつまでたってもラブラブなんでしょうな。あ~あ、暑い暑い。