INDICATOR MUSICIAN SERIES Vol.3
海援隊メンバー 倭人傳
Kaientai are
 Tetsuya Takeda / Kazuomi Chiba / Toshio Nakamuta
▲倭人傳
1979.12.1/ 2002.12.11 \2,500 UPCH-3007

1;倭人傳 2;風景詩 3;JODAN JODAN 4;贈る言葉
5;肩より低く頭をたれて 6;二流の人 7;石に刻め
8;パパお花咲いてるね 9;海を忘れた倭人たち
10;人生へのメッセージ


ちょっと風変わりなガキ(笑)
武田 鉄矢
親に洗脳されて二十有余年。それでも今も変わりなくファンである。武田さんの書く曲は、何かに自暴自棄になりそうな自分を振り返るときに、優しく叱ってくれているようで、それが実に心地良い。今も勿論、変わらず大好きです。
子供ならば子供らしくアニメやヒーロー戦隊にはしゃげばいいじゃん! などと、今にして思えばそう笑って振り返られる。それはそうだろう。おかんの話からすれば、姉貴が実に音楽好きであって、それまでの私は音楽が実に嫌いだったそうだ。そんなおかんが心配したのかどうかは知らないが、当時5才足らずの私に対し、「音楽はいいんだよ」と言いながら聴かせたのが、海援隊の「贈る言葉」だったそうである。
それからというもの、何故か「贈る言葉」にはまってしまった鷹嶺 昊(5)は、60分カセットテープのA面に贈る言葉をくり返しダビングし、B面には「人として」をくり返しダビングし、それを延々と聴き入っていたという、ちょっとどころか、かなり風変わりな、がきんちょだった。今時々はにかむ。5才のがきんちょが、贈る言葉にはまっているのを間近に見たら、誰でなくても引くだろうよ、そりゃ(笑)

そう、鷹嶺 昊二十有余年の人生の大基盤である音楽との出会いは、海援隊であり、武田鉄矢であり、そして贈る言葉だったのである。そしてそれは、私の音楽観を付け焼き刃的で、流行にただ流されるだけの若人指向ではなく、本当の意味で人生の指標となるべき名曲・アダルト指向に傾倒させたきっかけでもあったと言える。今、当時カセットテープに録音されていた「贈る言葉」と、その他のナンバーを調べて、それが『倭人傳』というアルバムであったこと。そして、24年の時を経て再会した懐かしい、実に懐かしい私の全ての音楽観・フィーチャーイングソングの原点。懐かしき親友に再会した様に、飽くこともなく聴き入っている。
海を忘れた倭人たちへ
千葉 和臣
千葉さんのヴォーカルを知ったのは、1996年にリリースされた「涙、自ら拭い去るとき」の「私の中の銀河」からだった。その優しい声には実に癒される。武田さんより歌は上手い(!?)
名曲というか、やはり流行に便乗しない独特の曲というのは、いつの時代になっても違和感もなく聴くことが出来るだろう。「贈る言葉」は時代を超えた名曲。金八先生の影響か、卒業ソングの定番として多分、永遠に存続するのだろう。最近、近年のリバイバルブームに肖って、カヴァーもされたそうだ。
が・・・これは私の欲か、それとも意固地なのか。「贈る言葉」は、発表された当時のままのほうがいい。倭人傳に収録されている、贈る言葉が秀逸なんであります。同じ武田さんの歌う様々な編曲やバージョンがありますけど、やっぱり原曲が最高です。もう、しつこいですけど、何度でも聴きますって(笑)
海援隊(武田鉄矢)の曲って、本当に説教じみてはいるんです。だから、好き嫌いってはっきりしているんですよね。好きな人はむちゃくちゃ好き、でも嫌いな人はすっごく嫌い。仕方がないと思うけどね(笑)
でも、武田さんの書く詞って、そのまま現代に通じる。予言者じゃないの??って思うくらい。
今の世の中、説教どころか、まともに怒ってくれる人も少なくなってきたじゃない。武田さんのような、小うるさいオヤジさんって、必要なんじゃないかな。
私は、『海を忘れた倭人たち』って曲が24年来むちゃくちゃ気に入っている。そうだよね。考えてみれば、日本って、世界の東の果てにある、ちっぽけな島国なんだよね。そんな小さな国の中で、せせこましく生きている僕等って一体何なのだろうかって、今振り返って思えば、この曲を聴き入っていた5才の私が、INN nostalgiaに結びついている鷹嶺 昊の原点でもあったのかなぁと思えてならない。
あははっ、そりゃ同世代の友人なんて少ないよな。どこに5才のガキが海援隊を好きか。奇特もいいところ。でも、私は言おう、好きなんだから、しゃあない。。
ドラの主題歌は良かったねぇ
中牟田 俊男
倭人傳のジャケットを見たとき、若いときは超格好良かったんじゃない? と思った(笑) 海援隊の力持ち。中牟田さんの書く曲はバンドとして、大人としての海援隊らしい色合いが強い。
私にとって海援隊って言うと、「贈る言葉」と、「人として」の金八主題歌の他に、映画『ドラえもん』シリーズ・1996年の『ドラえもん のび太の銀河超特急』主題歌・「私の中の銀河」まで手がけたことである。海援隊・武田鉄矢が主題歌を張っていた頃のドラ映画は自分の中でとても印象が強いんだよね。僕は特にお勧めなのが1985年映画「のび太の宇宙小戦争」主題歌『少年期』、1990年映画「のび太とアニマル惑星」主題歌『天までとどけ』、1995年映画「のび太の創世日記」主題歌『さよならにさよなら」、そしてラストとなった96年の「私の中の銀河」である。勝手はちょっと違うかも知れないが、武田さんの作詞で好きなのが1989年映画「のび太の日本誕生」主題歌『時の旅人』ですね。みんな、これがまたドラの映画にすごくピッタリマッチしているんですよね。
何か、藤子F不二雄先生が映画を通じて伝えたかったことと、海援隊の曲がピッタリと合っていたとでも言うのでしょうかね。元々、ドラえもんはずっと好きだった(そこのところは普通のがきんちょ)ので、映画の主題歌が海援隊となっていたとき、本当に不思議な縁を感じずにはいられなかったんですよね(笑)

海援隊に始まる、INN nostalgiaの展望

武田鉄矢全曲集
くどいなぁ・・・。なんて、自分でもそう思っていたりする。元々、INN nostalgiaは堅苦しい言葉に綴られていると思う。何が原因でもないと思うが、強いて挙げるならば、やはり自分がはまった海援隊からなのである。
旅というフレーズにかなりこだわっているのだろう、武田さんの作詞はご自身の経験だけではない、何か広い部分を感じることが出来る。それを考えれば、なるほどドラの主題歌を武田さんが得ることも納得が出来よう。「天までとどけ」や「雲がゆくのは」、「さよならにさよなら」は本当に皆に聴いて欲しいと思う名曲であり、さながらお伽話や子守歌のように人の心を打つわけであり・・・。
INN nostalgiaで描いてゆく小説のメインテーマは、まさしく郷愁、追憶。武田さんや海援隊が一貫して掲げているテーマに違いがない。だからこそ、こうして書いているコラムだって実にくどいんだよなぁ(笑)
好きなら好きでいいんでしょうけどね、他人にまで押しつけるなって感じでしょうか。

フィーチャーさせたい曲の宝庫

武田さんの詞に感銘を受けた人はその世界観の素晴らしさを第一に上げるのではないかと思う。海援隊の曲・武田鉄矢の曲としてじゃなくても、何となく歌詞の雰囲気で武田さんだと解る。ひと言で言えば明瞭なのだろうが、実にらしくていい。
それに小説に楽曲をフィーチャーさせる作風である私にとって、武田さんの詞がそのままストーリーとなる場面を想定するのに事欠かない。「さよならにさよなら」などはWith you~みつめていたい~後伝奇譚・まほろばの絆のメインイメージソングである。曲を聴いたときに痛く感動したものだった。時間は螺旋の階段、さよならさえも繋がってゆく~というフレーズにグッと来たものだった。バリバリの美少女恋愛ギャルゲーであるWith youのフィーチャーイングに適正かどうかは誰が評価するにしろ、私的にはジャンルを超えてストーリーを創り上げたいと思っているひとつだ。
そして、25年以上のファンであり続ける海援隊をこれからもきっと廃れることはないであろう。そして武田さんのくどくどさも、いつまでもそうあり続けてもらいたいと願ってやまないのです。

March 16, 2003