まえがき
FE紋章編の後作になるかな?
FE外伝と題した休日~夏の日のグラにて~は、余計なことまでダラダラと書き進めてしまったので、全20話というとんでもない長編になってしまった。
振り返ると、人気が高いペガサス三姉妹の次女を主人公にして、果たし得なかったマルスとの恋を実らせようと書き始めたのはいいが、いつしか創作人物が主人公の座についてしまい、結局悲劇の王女様との色恋沙汰で終わってしまった。更には妙に堅苦しい表現を使ってしまって、完全に歴史小説の轍(てつ)を踏んでいるから、読みづらいの前に面白くなかったと思う。書いた自分でも納得していない。
さて、前作の自己批判はここまでにして、このSMILE AGAIN~君の笑顔を守りたい~は、私個人でのFE紋章の謎を題材とした小説の後作として、休日連載終了後に構想に入ったものである。
今回は休日のように、安易すぎる書き出しだけは避けたいと、肝に銘じていて書き始めた。
リンダとマリクの恋愛成就を焦点に
この小説の主人公は、魔道少女リンダと、魔道士マリクである。
マリクは物語の最初からアリティアの王女を慕っている。マルスの大親友として、物語的にも重要な立ち回りを演じているが、リンダについては、父親が暗黒司祭ガーネフによって殺され、その仇討ちに燃えているという設定で、マケドニアの王女と同様にストーリー上における恋愛話に直接的な描写はされていない。
まあ、リンダがマリクを慕っているというのは薄々判るが、その感情が魔道士として敬慕するものなのか、異性として慕うものなのかはよく判らない。他の創作作品・ショートストーリーを拝読すれば、リンダがマリクに淡い恋心を抱いていると感じるものが多い。ならば僕も書いてみようかなあと、前々から思っていたのである。
しかも、この小説は、最終的にリンダがマリクを奪うという結末を見通して構想したのだが、だとすれば実に危険にあふれた内容になる。略奪愛などとなれば、FEファンの皆さんに激怒をくらってしまうかもしれない。
リンダのイメージだが、僕なりに決めたのは「世間知らずで直情径行、マリクを兄のように慕っている内心は純粋」ということである。もしもこの小説をご覧になっていて、イメージが違っていたら、ご容赦願いたい。
登場人物は・・・
脇役たちの登場はこの小説ではほとんどないと思われる。
舞台が第二部終了後、つまりエンディング後の話が中心なので、姿をくらましたり、隠棲したり、死亡した人物はまず登場しない(名前だけは出るかも知れないが)。リンダとマリクを取りまく人物でも、主役たちの場を奪うほどの活躍はないと確信している。
と、なれば「休日」のように創作人物はもちろん登場はしないだろう。当たり前のことだが、リンダとマリクの話だけを進めたい。前作はそこのところが失敗だったからだ。
ともかく、また性懲りもなく書き始めたFE小説ですが、最後までおつき合いを願いたいものである。
1998'8/2