CAST INTRODUCE #2
十徳神社――――氷川家にまつわる人たち
梅や桜の花を散らす美貌の公達…平氏滅亡後、その貌から笑顔は消えた |
平 維盛 |
中宮権亮・左近衛少将。清盛の孫で、燈籠大臣と呼ばれた名将・平重盛の嫡男。義経より二歳年上。 眉目秀麗な公達であり、世に『桜梅少将』と呼ばれる。だが、富士川の合戦で水鳥の羽音を敵襲と間違い不戦敗、倶利伽羅峠で源義仲に敗れるなど武将としては無能であった。一ノ谷の合戦後、行方不明になり、自害説・逃亡説などいわくが絶えない人物。しかし実は、紀州熊野の修験者に匿われて密かに関東に赴き……。 |
源 十徳 | 古文書『氷川文書』によると、十徳神社を開いた人物と記されている。これには義経とうつぼの子とあり、記述のつじつまは合っているようである。 |
眞那王 | 静御前が産んだ、義経の嫡男。世間の伝承では、頼朝の命令によって生後すぐに由比ヶ浜から投げ捨てられたと言われているのだが、実は…… |
平 雅盛 | 平頼盛の日記『池亜相記』に記されている平維盛の次男。彼もまた、氷川家に大いに関係していると言われている謎の人物なのだが…… |
お騒がせな親友たち
ゴシップ好きの快活さは、どんなことにも驚かない…笑顔導く、不思議な少女 |
信楽美亜子 |
愛称は「ミャーコ」。正樹・菜織らのクラスメイトであり、親友。自宅がバーを経営している由縁か、持ち前の天真爛漫さでムードメーカーとして人気が高い。放送部に所属。EBCレポーター兼DJなど、ミーハーネタを常に追い求める。夏休みに入っても彼女の特技は休まることはなく、相方サエと…… |
男勝りのスポーツ少女は世にも希なる律儀者…人の心の痛みわかる優しさ |
田中冴子 |
通称「サエ」。正樹・菜織らのクラスメイトで親友。生粋の江戸っ子であり、男気がある性格。家は煎餅屋を営んでいる。ハンドボール部に所属し、次期主将候補の腕前。同棲のファンが圧倒的多数。かたやミャーコの漫才的やりとりにはまり、後輩みよかには追い回されるなど、寝るとき以外は常にドタバタ劇を展開している。そんな夏休み、ミャーコから…… |
憧れも時に行き過ぎ人を苦しめてしまう…彼女が触れた大切なものとは |
橋本みよか |
正樹の先輩・橋本まさしの妹であり乃絵美の同級生。 困っているところを冴子に助けられてから熱狂的冴子ファンとなっている。とにもかくにも世話好きで、積極的に冴子の身の回りの世話をしている。夏休みも冴子に付きっきりでいようと思っていたのだが…… |
時に絆を利用し、時に大切にした殿上人たち
義経に憧れた幼き帝…鎌倉政権に対抗しようとした一途なる執念 |
尊成親王 |
第82代・後鳥羽天皇。高倉天皇の第4皇子で、安徳帝の弟に当たる。後白河法皇は祖父。 若干19歳でわずか4歳の第一皇子為仁親王(土御門天皇)に譲位して院政を行う。幼い頃、宮中に拝礼した源義経に強い影響を受け、義経に憧れて育つ。源頼朝の関東鎌倉政権に強い反発心を抱き、幕府が義経を葬ったことで更に憎しみを募らせる。後年、鎌倉幕府と北条義時追討を画策し、承久の乱の黒幕となるも事敗れ隠岐国に流罪となり、関東に怨念を抱きつつ崩御する。 |
常識を越え、女性として親王を愛した少女…過酷な渦は、容赦なく巻き込む |
九条香子 |
摂政・九条兼実の娘で、尊成親王の従妹、幼なじみ、許嫁。九条良経の妹。後に『中宮・宜秋門院任子(にんし)』となる。明朗溌剌・活動的な性格で、人見知りしないが、それがある意味父の悩みでもある。九条邸に度々訪れる親王と親しくなり、恋心を抱くようになるのだが、親王を慕う土御門通親の娘・祥子から嫌がらせを受けるようになる。 史伝では、土御門通親のクーデターに巻き込まれ、後鳥羽天皇の譲位に伴い御所を退去。失意のうちに病死した。 |
遊びが好きなはぐれ者…型枠に縛られない、自由を愉しむ | 優しい表情に隠された黒き野心…少女を巻き込む策略陰謀 |
鳳凰院兼資 | 近衛基通 |
光孝平氏(光孝天皇の子孫の平氏)出身の中流貴族。十六歳で従三位権中納言になったいわゆる秀才。現在で言うキャリア組の藤原一族ではないので、悠々自適に遊びや女性関係に没頭している。九条良経の親友であり、朝廷内の黒い紛争を後目に洛中にたびたび出没。良経の妹・香子が好きだが、その性格と宿命からか、香子自身にその気はない様子。ある時、奇怪な洋装の少女と知り合いになる。St.エルシア学園を設立した鳳凰院麗華の祖先。(架空人物) | 摂政・関白。摂関家藤原氏。藤原(近衛)基実の嫡男で、九条兼実の甥。 穏和な容貌とは裏腹に、摂関家の頭領に上りたいという野心に燃え、後白河院勢力につき、叔父兼実と対立。源(土御門)通親と手を組み、九条家失脚の陰謀を画策する。通親の娘・祥子と密通しているという噂がある。 史伝ではクーデター後、一時摂政・関白に登り詰めるが、兼実の子良経に奪還される。後、良経が謎の変死を遂げた後、関白に返り咲いている。 |
シスコンと呼ばれながらも信念を通した優しき兄 | 暗躍するノンキャリア…権力のため手段を選ばない策謀 |
九条良経 | 源 通親 |
九条家第2代。後、摂政・太政大臣。九条兼実の次男、香子(任子)の兄。文治四年(1188)、兄・良通が22歳で死去すると九条家の世継ぎとなる。従兄近衛基通と不和な父と共に行動。シスコンと思われるほどの妹思いであり、親王を慕う香子の気持ちを尊重しているが、政争による香子入内には気が進まない。そんな中で、ある人物と出会うことになるのだが... 史伝では後京極殿と呼ばれ、書道の大家。建仁2年(1202)、源通親死後、近衛基通から摂政位を奪還するが、4年後、父より早く38歳にして謎の変死を遂げている。 |
内大臣兼東宮傅。村上源氏。別名、土御門通親。朝廷の実権を握る野望に燃え、後白河院勢力の懐刀として平氏・源氏とカメレオンの様な変遷術を駆使。権力のためならば人をおとしめることも厭わない。殿上人や武家、少女たちも巻き込み暗躍する。 史伝では後鳥羽天皇を譲位に追い込み、土御門天皇を擁立。クーデターを起こし九条兼実を失脚させて朝政を一手に握った。久我・北畠・中院各家、岩倉具視の先祖に当たる人物。 |
朝廷を支配する影の首領…老練な知恵が人心を操る | 朝廷を支えつづけた氏長者…その思いは時代錯誤だったのか |
大炊御門経宗 | 九条兼実 |
前左大臣・太政大臣。藤原北家師実流の名門・大炊御門(おおいみかど)家の長老。鳥羽朝から後白河朝までの王統に仕え、摂関家といえど一目置く、事実上の朝廷の“ドン”。 九条兼実・近衛基通らの政権抗争にも落ち着いた態度を取る不気味な存在。香子と尊成、良経らの仄かな想い、源義経や静らにも関わってくる。鳳凰院兼資いわく、『京の大貍(おおだぬき』 |
摂政・関白。摂関家藤原氏。平治の乱の勝者藤原忠通の子。 京都朝廷の中にあって唯一無二の親頼朝派の筆頭。後白河法皇の院勢力と対立し、頼朝の征夷大将軍就任に奔走。しかし、その施政には公卿の殆どが反発し、実の甥・左大臣近衛基通と争ったが敗れて朝廷を去る。義経無断任官からその滅亡、更に北条義時を抱き込んで源氏滅亡の布石を残したのは彼であった・・・。 |
争いの最中にあった公達にも、恋愛はあったのだろうか
武士の魂忘れなかった勇猛の士…義経宿命のライバル、壇ノ浦に散る |
平 教経 |
正五位下能登守。門脇中納言・平教盛の子で、清盛の甥。精悍な美貌に加え、武勇・人格に優れ、平氏一門のエリートと言われた。義経より二歳年下。 鞍馬山に警邏に出かけたとき、美少女・静を見初めたと言われ、彼女が山を下りていったのは、それが原因ではないかと言われている。屋島の合戦で義経の右腕佐藤継信を得意の強弓で射殺。壇ノ浦において義経に八艘飛びをさせるまで追いつめたが、力尽き、敵将・安芸兄弟を両脇に抑えつけながら入水した。静との関係について、義経はついに知らぬままなのだったが…… |
寺社を焼き払った仏敵の公達…地獄に行く前に、触れたささやかな恋 |
平 重衡 |
本三位中将。平清盛の五男。精かんな美貌に重ね、口数少ない沈勇な性格で、四兄知盛、従兄弟の教経とともに、平氏一門の中で武士の本分を貫いた名将。 史伝では宇治平等院の戦いで、以仁王・源頼政を討ち、墨俣で源行家を破るなど戦功著しかったが、南都(奈良)の諸仏閣を焼き討ちしたために、『仏敵』の汚名を着る。一ノ谷の合戦で源氏に捕らえられ、鎌倉で頼朝に面会。その潔い態度に助命されるが、南都の要求で奈良に送られ、木津河畔で首を刎ねられる。享年29歳。その護送の途上で、彼はある少女と出会う…… |
激しい怨霊のたたりが、愛と絆をゆるがす
『不義の子』と陰口を言われつづけた、悲劇の美帝…閻魔となりて永遠に偽りの愛と絆を呪いつづける |
崇徳天皇 |
第75代。実名は顕仁(あきひと)。鳥羽帝の第一皇子で、後白河帝の兄という事になっているが、実は鳥羽帝の祖父・白河法皇が、鳥羽帝の中宮と密通(不倫)して産まれた子といわれている。そのためか、父親から『叔父御』と呼ばれていたという。 そんな出生の謎からか、不運をかこちつづけ、後に実権を回復しようとしたが失敗、実弟の後白河が即位する。これに怒り、左大臣藤原頼長、源為義らを巻き込んで、保元の乱を起こしたが事破れてしまい、讃岐(現・香川県)に流罪に処せられる。 眉目秀麗な帝であったが以後、頭髪を切ることもなく、自らの血染めの呪詛・怨文を朝廷に送りつけるなど、その怨みはすさまじく、容貌は悪魔のようになり、その名の通り、怨恨の権化となった。いわく、「私は必ずや大魔王となって未来永劫、後白河の一族末裔と、人民を滅ぼし、神州(日本)を暗闇に包み込むだろう」。1164年、讃岐において46歳で崩御。病死と言うが、二条帝の密命を受けた在国武士・三木近保による暗殺とも。香川県・白峰神社に祀られる。 『学問の神様』で知られる、太宰府天満宮の祀神・菅原道真、関東の新皇・平将門を凌ぎ、他者の追随を許さないほど日本最大の怨霊と言われる。その呪いは800年以上過ぎた現代にも伝わり、大不況・異常犯罪など、凶事が相次いでいると言われているほど。正樹や菜織たちにも、その呪詛は... |
現代と鎌倉を繋ぐ、陰陽道の力
安倍晴明の神通力、健在す…時を越えて召還するは救世主なのか |
源 士 |
陰陽博士。伝説的陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)の流れを汲む人物。嵯峨源氏(嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとのとおる)の子孫)の庶流。曾祖父の代から陰陽師として著名な家柄であった。ある日、洛外の大柳の樹下に捨てられていた少女を拾い安曇千影と名付け育てる。(架空人物) |
謎の少女、陰陽師となりて運命を操る…主人に身を捧げた、幻想の微笑 |
安曇千影 |
陰陽師。出自は不明。5尺6寸(約170センチ)の長身。生まれてすぐに京都洛外の大柳の樹下に捨てられていたが、陰陽博士・源士に拾われる。安曇千影と名づけられ、陰陽師としての英才教育を受ける。十三歳で大成し、士の右腕として不思議な呪術を発揮する。幻想的な雰囲気と美貌を兼ね備えた少女。(架空人物) |