(外見は大人っぽくなったけど…あんまり中身は変わっとらんのかもなコイツ)
【選択肢】 ・ありがとうございましたー →本編へ
・何を買うとるんじゃ? →続き
「…………」
改めて柚希の買ったものの中身を見る。雑誌、缶コーヒー……ん? カップラーめん……。
「おい、枝葉」
ぶっきらぼうに、青大が柚希を呼ぶ。
「ん、どうしたの? ハイ、これも」
首を傾げながら、柚希がバニラのアイス(ヘラで食べるやつ)をレジに差し出す。それを見た青大がそれを取り、表示を見た。
「ラクトアイスはやめとけ。身体に悪い」
「は?」
瞠目し、きょとんとなる柚希。
「え、えー? そ、そうなの?」
「ったく、添加物とか多いから、あれなんじゃ」
オドオドする柚希。青大は小さく舌打ちすると、レジの脇からフロアに出て、柚希を手招く。
そして、冷蔵庫の扉を開き、ごそごそと漁った。そして、柚希が取ったのとほぼ同じ様な別パッケージのアイスを取り出す。
「ほれ。これにせいや」
青大が差しだしたアイスを受け取り、目を瞬かせながら、食い入るように見る。
「ねえ青大くん、何が違うの?」
「アイスミルク言うんじゃ。こっちの方がカロリーとかも少なくて、身体に良いんじゃ」
「へぇー」
青大の言葉を真に受けとめて感心する柚希。
「美味しいの?」
「知らん。食うたことない」
「そんなぁー」
「うるさい。嫌言うなら、さっきのにせえよ」
「ううん、いい。こっちにする」
柚希が満面の笑顔。青大は熱くなる顔をひた隠しにするかのように、むすっとした表情を作りそっぽを向く。
「優しいね、青大くん」
その言葉が、青大の心に沁みる。
「そんなことはねぇよ」
レジを済ませて、柚希が袋を手に提げる。
「ありがとうございましたー」
「ねえ、青大くん」
「ん? 何だよ」
柚希が青大の目をじっと見つめる。
「……ふふっ」
意味深に笑う柚希。
「何だよ!」
苦虫を噛み潰したような顔で睨む青大。
「なんでもない、じゃ――――ね―――――」
「あ…、コラ待て!」
自動ドアが開き、駆けてゆく柚希。振り向きながら、大きく手を振っていた。
(枝葉……お前、ちゃんと飯、食うとるんか……?)