登場人物


星彩
蜀漢の五虎将軍・張飛の娘。常に沈着冷静で滅多に感情を表に出さない、精悍で美しい女性。蜀漢の未来を背負う若者として関羽の子・関平とともに期待を背負う。
関平が麦城に斃れ、張飛も横死すると、悲嘆を胸の奥に封じ、劉禅と蜀漢を守るために戦いつづけた。
劉禅が司馬昭の前に降伏を決めると、恥じて自害しようとしたが、劉禅に止められる。
劉禅の想いと優しさを知り、次第に劉禅に惹かれ行く。
劉禅
字は公嗣。蜀漢の後主、劉備の嫡男。非常に心優しい性格で、熟慮を重ねて物事を判断するので、懦弱・暗愚の陰口を受け続けてきた。しかしその裡に秘めた実力は父劉備を凌ぐほどのものがあると言われた。
司馬昭・鄧艾らが率いる魏軍の猛攻の前に降伏。自害を図った星彩を留め、洛陽に移り安楽公に封じられる。しかし、その幽静な瞳の奥には静かに燻る炎があった。
星彩を大切に想い、愛するがゆえに、星彩を安易に抱こうとは思わないでいる。

王元姫
魏臣・王子雍の娘。童顔で胸が大きい美女。司馬懿から乞われて司馬昭の目付役となる。やる気の見せない司馬昭の真の実力を見抜き、鍾会の野心を危惧するなど、人物鑑識眼の長けた才媛。司馬炎・司馬攸の母親。
蜀漢滅亡後の司馬一族の天下を見守るが、嫡男司馬炎に不安を感じている。司馬昭の性格に辟易している中で安楽公になって洛陽に在する劉禅には唯一相談し弱音を吐ける。
司馬昭
字は子上。司馬懿の次男で晋の文帝。英明な父と兄・司馬師に囲まれ、基本怠惰な言動で周囲を苛々させてきたが、側にいた王元姫によって尻を叩かれ、父・兄の遺志を受け継いで晋成立の基盤を固めていった。魏帝曹髦を弑逆し、蜀漢を降すなど激務が続き、急病に倒れる。
劉禅に対し自分に似たものがあるとして、その秘めたる実力を見抜いていた。蜀の元皇帝の起用を図るなど、大胆不敵な決断力を兼ね備えていたが、後継者には嫡男司馬炎ではなく司馬攸をと願っている。

司馬炎
字は安世。晋武帝。司馬昭と王元姫との長子。魏元帝・曹奐から禅譲されて「大晋」を国号とする。性格は父譲りだが、一旦冷めるとしばらくやる気が出ない。好色であり、よく楊駿と連んでいる。
司馬攸
字は大猷。晋の斉王。王元姫の子で、司馬炎の弟。温厚で清廉、聡明であり祖父の司馬懿、父親の司馬昭からも期待を寄せられていたが、そのために兄の司馬炎からは嫌われている。元姫も密かに司馬攸に期待を寄せていたが、長幼の序を守ろうとして歯痒い。
曹奐
字は景明。魏の元帝。高貴郷公・曹髦が司馬昭に弑逆された後に擁立された。天下が曹魏から司馬氏に帰していることを察知し、曹魏を滅ぼす事になる禅譲に対しては非常に淡淡とした思考の持ち主である。
司馬炎に禅譲後は陳留王に封じられ、南朝・宋まで続く陳留王曹氏の祖となる。
劉淵
字は元海。匈奴の左賢王・劉豹の子で、単于呼廚泉の族孫。父の後妻・蔡文姫の影響を受けて大陸を漫遊。高句麗の中川王の下にいた時に呼び戻された。
曹奐、劉禅、後漢献帝の孫劉康らと好誼し、晋の天下は魏をそのまま受け継いだだけと思っている。後に晋を倒し前趙を建てることになる。
王祥
字は休徴。瑯邪王氏の重鎮。魏に節義を通した頑固者。晋創建時の長老格で、司馬昭も頭が上がらない。やる気のない司馬昭にむち打つ言動を支えたが、元姫も何故か王祥が苦手。東晋の名宰相・王導は族孫。
禿髪樹機能
禿髪鮮卑の首領。容貌が呂布に酷似している。弟の倚悝と共に洛陽郊外の居留民区に在している。遠駆けをしてきた星彩と会い、魏・晋の禄を食み続けるつもりかと問う。
後に涼州地方で約十年近く続く、大規模な反乱を起こすことになる。