■美少女遊戯大戦レポート
高原夜空(語り)「今宵も、おなじみの顔でござる」
高原万葉(久遠の絆ヒロイン・語り)「どこかで聞いたことがある台詞ね」
斎栞(久遠の絆サブヒロイン・語り)「今宵も、おなじみの―――――」
夜空「うるさいっ! さて……いよいよ公開とあいなった遊戯大戦レポの記念すべき第1回は「エルシア軍決起」でござる」
栞「ふーん。私たちの作品じゃないんだ」
万葉「夜空さんの趣味ってところかしら、うふふふ」
夜空「ほっとけ! 久遠からは君たちふたりが語り部として私と共に最終回まで行くんだ!」
栞「最終回?」
万葉「レポートだから、最終回なんて無いような気が……」
夜空「細かいことはほっとけ! それでは、大河ドラマ調に、テーマ曲に沿って出演者のテロップを流して下さい。手動で(爆)」
第1回「エルシア軍決起」 出演 伊藤正樹 … ○○ ○○ |
|||
氷川菜織 … 美都 いづみ |
|||
伊藤乃絵美 … 藤咲 かおり |
|||
信楽美亜子 … 倖月 美和 |
|||
田中冴子 … 水無瀬 凌 |
|||
橋本まさし … ギンジ |
柴崎拓也 … 近藤 無大 |
||
足利義輝 … 野地 将年 |
細川藤孝 … 松山 鷹志 |
||
菊亭晴季 … 山野 史人 |
日野輝資 … 井川 哲也 |
||
中院通勝 … 天田 益男 |
九条兼孝 … 堀内 賢雄 |
||
今坂唯笑 … 那須 めぐみ |
|||
桧月彩花 … 山本 麻里安 |
|||
双海詩音 … 利田 優子 |
|||
|
|||
鳴瀬真奈美 …鳩野 比奈 |
|||
|
|||
川澄舞 … 田村 ゆかり |
倉田佐祐理 … 川上 とも子 |
||
咲耶 … 堀江 由衣 |
可憐 … 桑谷 夏子 |
||
千影 … 川澄 綾子 |
春歌 … かかず ゆみ |
花穂 … 望月 久代 |
|
雛子 … 千葉 千恵巳 |
鞠絵 … 柚木 涼香 |
四葉 … 半場 友恵 |
|
川島得愛 関根宏次 並木伸一 秋田まどか 大木しほ 成田梨紗 |
|||
|
|||
ナレーター … 高原 夜空 |
|||
高原万葉 …冬馬 由美 |
斎栞 … 笠原 弘子 |
||
代々木〜の皆さん/東京〜の皆さん/青二プロ |
|||
|
|||
織田信長 … 草尾 毅 |
|||
近衛前久 …小日向 文世 |
|||
水瀬名雪 … 国府田 マリ子 |
|||
木下藤吉郎 … 山口 勝平 |
|||
水瀬秋子 … 皆口 裕子 |
|||
正親町天皇 … 藤村 俊二 |
|||
第1回 エルシア軍決起(1)
平成12年(2000) 3月29日
St.エルシア学園
伊藤正樹(With
You主役):ふぃ〜今日も疲れたぁ〜。
氷川菜織(正樹幼なじみ・With Youヒロイン):お疲れさま。ハイ、いつものように差し入れ。
正樹:サンキュ。
橋本まさし(正樹先輩):よ、正樹。相変わらず調子がいいみたいだな。
正樹:先輩、見てたんですか。
まさし:はははは。引退したとは言え、まだまだチャレンジャー精神は廃れていないぞ、俺は。
菜織:こいつはまだまだ先輩の足元にも及びませんって。
正樹:こら、菜織。そこまではっきり言わなくてもいいだろ。
まさし:はははは。嬉しいこと言ってくれるね、菜織ちゃんは。
そんな夕暮れグラウンド。その時だった。突然、黒い雲が夕陽を霞め、三人が驚いて空を見上げたと同時に、校門の方から一人の生徒が大慌てで三人の元へ駆け寄ってきた。
生徒:伊藤……正樹君と、氷川……菜織さんですね?
正樹:そう、だけど?
菜織:ええ。そうよ
生徒:おそれながら、私と共にご足労願いませぬでしょうか。
生徒は妙な言葉遣いで正樹たちを見上げていた。顔を見合わせ首を傾げる二人に、生徒は圧するような声で言った。
生徒:あなたたちの浮沈にかかわる一大事です。何が起きてもよろしいですか?
どうやら、答えはひとつしかないようだった。
校門を抜ける瞬間、正樹たちは異様な抵抗感に思わず目を伏せた。そして、そっと目を開くと、そこは見覚えのない場所。古めかしい建物の中のようだった。
正樹:な、な、何が起こったんだ!?
菜織:ちょ、ちょっとどういうことこれ!?
まさし:お、なんか面白そうなこと起こっているみたいだな。
正樹:のんきなこと言わないで下さいよ先輩!
そして、その生徒に先導されて廊下の突き当たりにある扉をくぐると、正樹たちはさらに驚きの声を放った。
正樹:お、お前ら……何してんの?
伊藤乃絵美(正樹妹):あ、お兄ちゃん。
田中冴子(正樹クラスメイト):あん? 正樹に菜織じゃねえか。なんだ、お前らも来たのか。
信楽美亜子(正樹クラスメイト):にゃはははっ、いらっしゃいませぇ!
正樹たちは状況を飲み込めず困惑したまま、乃絵美たちに勧められる場所へ腰を下ろした。
乃絵美:私も帰ろうと思って校門を抜けようとしたら、急にめまいがしちゃって……。気がついたらここに。
冴子:なんか重大な話があるとか何とか言ってたぞ。
美亜子:こりは途轍もなくビッグなスクープのにほいがするねぇ。
やがて、正樹たちを連れてきた生徒が大声で「礼」と叫ぶと、正樹たちは反射的に上体を深く折り曲げた。
間を置かずに、するすると、衣服が擦れる音が近づき、畳の間に響く。
正樹:(おい冴子っ。な、なんなんだ?)
冴子:(知るかっ。あたいに訊くなっ!)
ひそひそ話をうち切るように生徒の「直れ」の声が響く。正樹たちが上体を起こすと、目の前にはそれこそ見慣れない装束、いわばよく時代劇なんかで見る公家の服を着た人物が3人、正樹たちに向いていた。
日野輝資(ひの てるすけ;勅使・武家伝奏):With You〜みつめていたい〜の諸卿におかせられてはご機嫌麗しく、恐悦至極に存ずる。
中院通勝(なかのいん みちかつ;勅使・中納言):中院通勝、With You〜みつめていたい〜の八尺を言祝ぎたてまつる。
九条兼孝(くじょう かねたか;勅使・権大納言):九条兼孝、天子に代わり伊藤正樹殿、氷川菜織殿ら諸卿の功業を賀したてまつる。
なにやら難しい言葉を並べて上体を傾ける三人の公家。目をしばたたかせながら、正樹たちは唖然としていた。
日野輝資:さて……早速ではございまするが、天子におかせられましては、With You〜みつめていたい〜勢力の力を借りうけ、強敵の討伐を御下命あそばした。
正樹:???
一向に訳の分からないままの正樹たち。そこへ……
女性の声:正樹君――――みんな!
正樹:真奈美ちゃん?
菜織:真奈美?
冴子:なんだよ、お前も来てたのかよ。
美亜子:やっほー、真奈美ちゃん!
鳴瀬真奈美(正樹幼なじみ・With Youヒロイン):みんな、その方たちのお話、ちゃんと聞いて。実は――――
かくかくしかじかと、真奈美は正樹たちに事の経緯(大戦のルール)を語った。
九条兼孝:鳴瀬殿の仰るとおりでございます。天子におかせられましては、近来、強大なる勢力を恃みに横柄な態度を取る、『ときめきメモリアル』軍の追討を、諸大名に御下命あそばされており申す。
菜織:ときめきメモリアルって言うと、きらめき高の総領・藤崎詩織って娘でしょ?
冴子:噂には聞いてるぜ。かなりの強者じゃねえかよ。
中院通勝:左様です。仰せの通り藤崎詩織は、五年以上に渡り各界の頂点に座し、今だ人気は衰えず、沈静化したとは言え、隠然たる勢力を保っており申す。
正樹:それで、要するにお上(かみ)は俺たちに『ときメモ』軍を討ち滅ぼせ――――と?
九条兼孝:お察し下され、正樹殿。
正樹:あはははははっ!!!
菜織:ちょ、ちょっと正樹?
冴子:おい正樹、大丈夫か?
乃絵美:お、お兄ちゃん――――?
伊藤正樹、顔は笑っているが、目が笑っていない。
正樹:おいおいおい! 天子だかなんだかしらねーが、ときメモの藤崎詩織っていやぁ、無く子も黙るこの世界のトップキャラだぞ。それを、俺たちに攻め滅ぼせって言うのか? はっ! 無茶言うぜ全く。
日野輝資:With You〜みつめていたい〜殿にのみとは申さず。他勢力にも天子の御下命はあり申す。
菜織:他勢力?
中院通勝:すなわち、天子は東鳩、Piaキャロット、ファースト☆Kiss、Kanon、AIR、メモオフなど、中堅勢力に勅使を遣わし、諸勢力一丸となってときメモ勢力の追逐に力を注がれたしと。
まさし:東鳩の神岸あかりに、ぴあの日野森あずさ……ファーストの織倉母娘に、水瀬、月宮、神尾、今坂……か。
正樹:先輩、何を指折り数えてるんですか!
まさし:お? ははは。いや、どれもなかなか強力なライバルじゃないかなってね。
正樹:呑気なこと言わないで下さいって。そいつらだって、いつ敵になるか、わかったもんじゃないんスから。
美亜子:あ、正樹くーん。そいだったらダイジョーブだよ。
正樹:ん? ミャーコちゃん、それってどういう意味?
美亜子:だからぁー、要するに正樹君が相手に捕まって斬り捨てられても、真奈美ちゃんや菜織ちゃんが生きている限りはダイジョーブってこと。
冴子:ま、そう言うことだよな。
正樹:ちょ、ちょっと待て! それって、俺ってばいてもいなくてもいいって事かい???
乃絵美:お兄ちゃんがいなくなっちゃったら……私……。
美亜子:でも安心ヘーキだよ、乃絵美ちゃん。
乃絵美:え?
美亜子:ときメモの主人公よりも、正樹君の方がはるかにキャラクタ立っているから、いなくなられちゃまいっちんぐってカンジなのねん!
高原夜空:ほほほ。リーダー(閲覧)の皆様、ご機嫌麗しゅう。
高原万葉:あーあ、横やり入れちゃって……
斎栞:えへへ、こんにちわー!
夜空:さて、万葉に栞。ときメモシリーズの主人公について、見解を言ってみよ。
万葉:見解なんて……ときめきメモリアルは私たちの世界においては別格でしょう? 売れ筋、人気とも敵うものなしって。
斎栞:そうそう。藤崎詩織ちゃんなんか、アイドル界進出っていう快挙を挙げたし!
夜空:むむむ……いや、てゆーか、それ言ってしまったら話は終わってしまう……ああ!! ちょっと待て!
冴子:ときメモの大将って、何て野郎だ、ミャーコ?
美亜子:んーとねぇ……えーっとォ……あ、さとう……さとう、ゆうすけ……うん! 佐藤祐介って奴。
冴子:佐藤祐介?? しらねーな。って言うか、良くありそうな名前じゃねえか?
乃絵美:それ、言っちゃだめだよ、サエちゃん。私たちと違って、主人公の人にデフォルトの名前がない世界なんだから。
まさし:さすが乃絵美ちゃん。さり気ない突っ込み。
正樹:あ、なるほどね。
乃絵美:だからきっと、大将の『佐藤』って人は敵じゃないと思うよ。その気になれば私でも簡単に千一本にすることが出来るかも。
と、ロムレット調理場にある包丁を懐から覗かせる乃絵美。
真奈美:乃絵美ちゃん……あはは(汗)
菜織:さり気なく怖いこと言うわね、この子……。
て、言うか、凶器を持ち歩くのは止めましょう。誰か突っ込んでやれって!
九条兼孝:おそれながら……。
正樹:え?
九条兼孝:ご奉答をお願いします。
正樹:あ、ああそうだった。……で、もしも下命に逆らったらどうなるんスか?
日野輝資:東鳩家、Kanon、AIRらの諸勢力に対し、朝敵征伐の内旨を下し申す。
菜織:つまり、どういう事よ?
日野輝資:朝敵となった勢力に対しては、惜しむ事なき力をもって、これを粉砕いたす。貴勢力内において、生きとせる者、無きものと思し召されたし。
まさし:どうやら、俺たちに選択の余地はなさそうだな。
冴子:そのよう……だな。
正樹:ははははっ! それはもちろん、ことわ――――がぼべぶっ!!
美亜子:はにゃあ! 真奈美選手のムエカッチューアが正樹選手の頬骨にクリーンヒット! ぐうの音もでないまま正樹選手ダウン!
乃絵美:スリー……ツー……ワン……。
真奈美:えっと、勅使さま。
九条兼孝:はい。
真奈美:天子さまの上意、謹んで拝したてまつります。
九条兼孝:おお、承けて下さりますか。
中院通勝:そは、重畳至極。
日野輝資:ならばすぐにでも伊藤正樹卿、氷川菜織卿、伊藤乃絵美卿のお三方の参内を関白殿にご奏上つかまつります 。
菜織:ちょっと待ちなさいよ。
日野輝資:は?
菜織:は? じゃないでしょ! どーして、正樹と私と乃絵美だけなのよ。メインヒロインの真奈美はどうなの!?
中院通勝:恐れながら、そはWith You〜みつめていたい〜殿が世に知られるようになってからの世情をおもんばかれば、当然の仕儀と推察いたします。
美亜子:ん――――要するにー、私たちの作品が発売されて今までの人気を比べるとー、本来メインだったはずの真美ちゃんの人気は期待ほど上がらず、サポート的な存在だった菜織ちゃん、そしてこの二人に群を抜いて乃絵美ちゃんの人気が高いとー。こういう訳なんだね?
冴子:おめーはよォ、ちぃとは遠慮して言え!
九条兼孝:ご明察。恐れ入る。
夜空:4月7日、With You〜みつめていたい〜当主(主人公)、伊藤正樹殿は、ヒロインの氷川菜織、そして妹の乃絵美殿を伴い、宮中へ参内のため上洛つかまつった。
万葉:夜空さん? 乃絵美ちゃんって、主人公といい仲になりましたっけ?
栞:主人公の妹だよね、確か。
夜空:伊藤乃絵美は主人公正樹の実の妹だ。いい仲になるわけがない。そちら系のストーリーではない。パソ・コンシューマを通じてサブキャラだ。
万葉:不思議ね。完全なサブキャラクターが、ヒロインの人気を凌駕するなんて。
栞:それって、要するにヒロインの影が完全に薄れちゃったってこと?
夜空:こら! それをいっちゃあ身も蓋もないだろう!
京都御所
正樹たちもまた、公家装束をまとい、謁見の間に並ぶ。
近衛前久(このえ さきひさ;関白):With You〜みつめていたい〜ご領袖伊藤正樹、ヒロイン氷川菜織、ならびに朝臣伊藤乃絵美、天子に拝したてまつーるー――――。
菜織:ねね正樹、何かすごいわね。
正樹:あ、ああ。
近衛前久:では、正樹殿、皆さん。先日教えたとおりにご挨拶を――――。
菜織と乃絵美は自信ありげに頷く。しかし正樹は袖からごそごそと一枚の紙を取り出す。
菜織:何それ。
正樹:きまってんじゃねーか。カンニングペーパーだろ。
菜織:没収。
正樹:あああ! 何すんだおめー!!
菜織:そんなもの見ないで挨拶くらい出来るでしょ!
乃絵美:あ、お越しになったみたい。
御簾(みす)、ようするに『すだれ』の向こうに人影が見えた。
人影:関白、御簾を――――。
やけにトーンの高い声である。
近衛前久:ははっ!
やがて御簾が丸められ、下から徐々に壇上の人間が姿を現して行く。
正親町天皇(方仁=まさひと):はるばる関東からよう参られた。朕が方仁である。
菜織:えっと・・・かしこくも臣、御竜顔を拝し奉る栄誉をいただき――――きょうえつしごく――――。
乃絵美:乃絵美朝臣(あそん)、天子様のご健勝を言祝ぎたてまつります――――。
正親町天皇:はははは。その様な堅苦しいご挨拶はご無用に。
正樹:ならばえーっと。よぉ! てんのー元気――――ぐばっ!
近衛前久:ん? いかがされた正樹殿。
菜織:おほほほ。何でもありませんわァ(天皇に向かって「よぉ!」はないでしょバカ!)
正親町天皇:それはそうと、ふむふむ。そちはなかなかの美女じゃのう。
菜織:え? え? あたし?
正親町天皇:ふむふむ。
菜織:いやですわ、おほほほ!
正親町天皇:いや、そなたではなく、そちらの娘じゃ。
乃絵美:わ、私ですか!?
正親町天皇:にや〜〜
菜織:……………………(#)
近衛前久:御上、お約束なボケはそれくらいにしていただきとうございます。
正親町天皇:ははは。面白かったかのう?
間違っても、つまらねーぞボケおやじ! などとは言えまい。
近衛前久:では、前に九条亜相兼孝卿以下、伝奏が御叡旨をお伝え致したことにつき、ご奉答を。
何故かかくんと前に項垂れ、身動きひとつしない正樹をよそに、菜織が天皇の前に一歩進む。
菜織:臣With You〜みつめていたい〜、ご宸襟(しんきん)を悩ますときメモの藤崎詩織以下逆臣をことごとく追討つかまつり、蒼氓を安んじることを誓います。
正親町天皇:頼もしき言葉なるかな。子細は関白や大納言より漏れ聞いておると思う。藤崎詩織らときメモ勢力の傍若無人は朕のみならず、神州の民を惑わしつつあり。これを討ち、神州の安寧をもたらすは皇祖高宗の御意にそうものである。With You〜みつめていたい〜の力を、期待しておるぞ。
菜織:はいっ!
近衛前久:ついては、伊藤正樹卿、氷川菜織卿、伊藤乃絵美卿に、天子より叙任の叡旨を下さる。
乃絵美:はい。
菊亭晴季(きくてい はるすえ;内大臣):伊藤正樹儀、これを従三位に叙し、検非違使別当(けびいしべっとう)を御下命されたし。
正樹(菜織の声まね):ははっ、ありがたきしあわせ。
菊亭晴季:氷川菜織儀、これを正四位上に叙し、中務卿(なかつかさきょう)を御下命されたし。
菜織:ありがとうございます!
菊亭晴季:伊藤乃絵美儀、これを従四位下に叙し、大膳大夫(だいぜんだいぶ)を御下命されたし。
乃絵美:は、はい。謹んで、うけたまわります・・・。
栞:??? よくわかんなーい。
夜空:では、説明いたそう。正樹が任命された『検非違使別当』とは、検非違使庁という律令制度における官職の長官で、現在で言うと、警察署と裁判所を兼任する役所の長官なのだ。
万葉:そう言えば、私たちの作品(久遠の絆)でも、その名前が出てきたわね。
夜空:靫負庁(ゆげいのちょう)だろう? 靫負とは検非違使庁の古称なのだ。現在でも言えることなんだけど、警察機構と裁判機関って、自然と権限が強いところなんだよ。だから、かなりの重職だったことが言えるね。
栞:菜織ちゃんがうけた『中務卿(なかつかさきょう)』って?
夜空:朝廷の内政を担当する『中務省』の長官なんだけど、君たちに関わっている、陰陽道を支配する陰陽寮は、この中務省の管轄なんだ。
万葉:菜織さんがその長官に任命されたってことよね? 鷹久の命運も、菜織さん次第?
夜空:そこまでは私も知らん!
栞:それで、乃絵美ちゃんの『大膳大夫(だいぜんだいぶ)』
夜空:これは字の通り、食事を担当する役職の長官名ですね。いわば、レストラン経営者兼総料理長。調理から食材の管理までを担当。乃絵美ちゃんにぴったりの官職ですな。ちなみに、有名どころでは、武田信玄が大膳大夫と名乗っている。料理が好きだったんでしょう、きっと(爆)
万葉:掲示板に書き込みされる人は参考にならないわね(笑)
夜空:さてさて、ページ数の都合につき、この続きはまた次回。ご機嫌よろしゅう。
栞:今宵も、おなじみの顔でござった(笑)